「マイナス指向の日本人は好きじゃありません」韓国のソフト開発会社に勤める楊さんは思う。なるほど、ITバブルからIT不況へ突き落とされた日本は、何かにつけ慎重になった。マイナス指向に見えるのも無理はない。
「日本人のよさは、先の先まで読み、慎重に、組織的に行動できる点。しかし、裏を返せば決断が遅く、考えすぎる。ITの世界では、この遅さが命取りになる。同じプロジェクトでも、日本人がやるのと韓国人がやるのとでは速さが違う。活発な議論を闘わせる点では同じだが、韓国人は結果を出すのが速い」
この速さが、いつのまにか韓国をIT先進国に押し上げた。
もうひとつ、「ソフト開発のベンチャー企業にいると、『大企業から画期的なソフトが飛び出てくることはあり得ない』ことがよく分かる。ソフト開発は、大企業であることの利点を出しにくい分野。少数の優秀な技術者がいれば良い製品が出てくる」という。世界最大手のマイクロソフトが若い芽を摘む「抵抗勢力」に見えてくる。日本の中小企業でも、発想を変えれば、世界で通用するソフトをつくれる。
「毎日、毎日、過ぎていく日々が納得できればそれでいい。今日一日楽しかったと感じれば満足」
それが楊さんの信条だ。
プロフィール
楊芝栄(ヤン ジヨン) 1972年、韓国全州市生まれ。91年、又石大学社会学部新聞放送学科入学。94年、来日し、東海大学文学研究科広報学科(修士課程)入学。96年、同研究科卒業。96-00年、協同エージェンシー勤務。01年、ウェブメール開発のスリーアールソフト入社。