フリーのマーケティング専門家になり、この2年間で、7社の企業を渡り歩いた。半年だけの契約もあったが、長期で兼務する企業も多い。マーケティング調査や販促、広報など、企業の企画部門と顧客とを結ぶ。「ネットバブル期、ITベンチャーの多くは、認知度を得ようと掴んだカネを広告につぎ込んだ。手練れた広告代理店からみれば、まさに鴨ネギ。言葉巧みに出稿を引き出し、ベンチャーは資金切れで燃え尽きる。うんざりするほど見聞きした」「カネをかければ、認知度を得られるわけじゃない。事前の市場調査や販促、広報をうまく取りまとめる専門家が要る」と訴える。 


　「マーケティング専門なんて、スマートな仕事」との印象をもたれるという。だが、フリーで渡り歩くのは容易ではない。「3社、4社と兼任すると、まさに体力勝負。時間の余裕がなく、会社の登記は起業してから1年後。もう2年経ったというのに自社サイトひとつ完成していない…」と嘆く。将来の夢は「企業メセナ」を手掛けること。「惚れ込んだ美術や演劇、音楽に、スポンサーの支援を取り付ける。ゆくゆくは、ノエルという会社が中心となり、広告では届かない心の琴線に触れるマーケティングをする」降誕祭を祝う歌（ノエル）の響きになぞらえて付けた社名だ。