逆境に強い人である。立ち上げが難しいビジネスであればあるほど燃えるタイプだ。最初は、手づくりのソフトが「当たり前」だったメインフレームに、出来合いの既製ソフトを足を棒にして売り込んだ。今は、EAI需要の創出に没頭する。
「情報システムは、分散と統合を繰り返して発展する。今はまさに社内外に分散した複数のアプリケーションを統合するフェーズに向かっている。何十、何百もの乱立する業務アプリケーションを統合するEAIは、必ず売れる。大半の企業は、まだEAIが『必要』だとは実感できていないものの、引き合いは着実に増えている」新規市場の開拓は体力がいる。米国本社はEAIの立ち上げに投資を続けている。来年度には黒字化する目途を立てるものの、それには北アジア地区の力が欠かせない。
広本さんの責任は重い。困難なビジネスに果敢に食らいつく気概は、父親から受け継いだ。「船長だった父は、小舟で大海に乗り出して、魚を獲って帰ることを何十年も続けた。ビジネスを海に例えれば、私も実は父と同じことをしていると思う」「魚を獲るという目的を達成して、船員みな無事で港に帰る。そして、また出航する。父がそうであったように、私の航海も、必ず成功する」
プロフィール
(ひろもと まり)秋田県出身。1983年、コンピュータアプリケーションズ、88年、BMCソフトウェアなどを経て、99年2月、シービヨンド・テクノロジー・コーポレーション代表取締役社長に就任。01年9月、米本社・北アジアパシフィック副社長兼任。EAI(企業内アプリケーション統合)の専門ベンダーとして同市場の立ち上げに力を入れる。