阪神大震災の時、デジタルデータの強みを痛感した。 「当時は親父の後を継いで広告代理店の仕事をしていたが、社員の家に持ち帰らせたパソコンの中に残っていたデータをかき集めたら、業務内容を完璧に再現できた」と振り返る。
紙の情報は散逸したり、ほとんど使い物にならなかったという。「震災後、神戸の広告代理店の中で、自分の会社がいち早く仕事を再開できたのは、データをデジタル化していたおかげ」。
この経験で、一気にITの世界に興味が高まり、震災と同じ年の1995年10月、神戸デジタル・ラボを設立した。今では、広告代理店の仕事は人に譲り、オープン系のシステム開発業に取り組む。
仕事を広げる大きなきっかけとなっているのが、「人との出会い」だ。たとえば、当時のオフィスに突然、「面識もなかったのに間借りさせて欲しいと押しかけてきた」という社会福祉法人プロップステーションの竹中ナミ理事との出会いは、プロップを支援する成毛眞氏など、IT業界のキーパーソンとの縁を生んだ。
「仕事とプライベートの中間のような関係の知り合いはたくさんいた方がいい。いざ本当に仕事ができた時、声をかけてもらうことがある。できないことでも、できるように話す。話している間に勉強して、できるようになるから」と、関西人らしい“ノリ”の良さが新しいビジネスを切り開こうとしている。
プロフィール
永吉 一郎
(ながよし いちろう)1962年、兵庫県神戸市生まれ。85年3月、広島大学卒業後、京セラ入社。設計部で精密機器の設計を行う。91年 同社を退社、神戸に戻り総合広告会社の日宣通代表取締役に就任。95年、神戸デジタル・ラボ設立、代表取締役に就任。 神戸ファッションクリエーターズクラブマルチメディア部会長、神戸マルチメディア・インターネット協議会事務局、夢プロジェクト(Net Day in 神戸・はりま・伊丹)事務局、神戸商工会議所会員、神戸ファッション協会会員スマートバレージャパン実行委員、社会福祉法人プロップステーション評議員――などの要職にある。