有力IT企業の“メッカ”である米サンノゼ市(カリフォルニア州)のゴルフ場内住居地区に「趣味が講じて」自宅を構えた。グリーンカード(米国永住権)も取得した。「失敗を責める日本文化が嫌い」。失敗を恐れない米国人気質の持ち主だ。日本アイ・ビー・エム(日本IBM)を退職して米インテリシンクに入社。その後、日本法人のインテリシンク社長を引き受けたのも、「社長の立場で、自由に権限を行使できる」と、“特権”を駆使し、自分なりに戦略を打ち出せるからだ。
1995年にはアジア担当の責任者も兼務。同社の中核技術であるデータシンクロ/ブラウジング(データベース内の情報把握)技術「インテリシンク」を売り込むため、「日本以上に携帯電話市場の拡大が期待できる」と、営業で中国と韓国に渡る機会が増えた。今年に入り韓国に拠点を開設した。「ソウル市内の飲み屋で知り合った」という人材を充てた。こうしたユニークな発想やスピーディな決断は、事業開拓を進める際にも度々生きているようだ。
日本IBM時代は、米IBMでノートパソコン「ThinkPad」立ち上げの製品開発に参画した。一線で活躍していたにも関わらず、「常に、いつ辞めるかを考えていた」。ここ数年、企業買収を繰り返し業績も乱高下する米インテリシンクは、IBMと違い「刺激的で、働きやすい職場」だという。
プロフィール
荒井 真成
(あらい まさなり)1960年、北海道三石町生まれ。80年、釧路高等専門学校卒業。84年、豊橋技術科学大学でコンピュータサイエンス(情報処理工学)博士号取得。同年、日本IBMに入社。5年間メインフレーム用CPU「マイクロコード」のプログラマとして製品開発に従事。90年、米IBMに出向。「PS/2 Model 56」のプロダクトマネージャーを担当。その後、「Think Pad」のブランド立ち上げに携わる。93年、日本IBMで、製品戦略やアプリケーション戦略パートナーのマネジメントを行う。95年、米プーマテック(04年に社名変更でインテリシンク)に入社。ビジネスデベロップメント担当副社長を経て現職。米インテリシンクのアジア担当ゼネラルマネージャーも兼ねる。