日本のソフト産業は、輸出額と輸入額の格差があまりにも大きい。輸出額は輸入額のわずか32分の1という大幅な輸入超過。世界で売れる日本のソフトは少ない。セキュリティソフト「ウイルスバスター」は、日本の開発者が作り、世界で販売実績のある数少ない日本製ソフト。その仕掛け人、製品企画立案のトップが山崎裕二氏である。製品企画の総責任者を務めるのは、今月下旬に発売の新版で、2モデル目となる。
新バージョンは、これまで以上に新機能を盛り込んだ“攻めの企画”で生まれた。機能を豊富に組み込めば、ソフトの安定稼動を妨げる危険性もある。しかし、あえて30種類以上の新機能を備えた。テストに費やした工程、時間、人員も前バージョンの1.5倍用意した。「安定稼動と多くの新機能。新版はこの両方を求めた。安定稼動は最低条件だが、たくさんの機能を盛り込まなければならない程、今のネット環境は危ない」
毎月、最低1週間は海外での仕事。海外拠点のマーケティングやサポート担当者と話し、海外のニーズを拾いに出る。日本の要望を探るためには、ショップに立ち自ら接客もする。海外と日本のニーズを常に念頭に置くのがモットー。あくまでターゲットは、世界。「日本のソフト開発者の技術は、欧米や中国に比べてもまったく遜色ないし、日本はITの世界を牽引している国。“made in japan”ブランドの品質の高さ、強さを、ソフト産業でも世界に知らしめたい」
プロフィール
山崎 裕二
(やまざき ゆうじ)1960年、東京都生まれ。84年、早稲田大学政経学部卒業。84年、東芝入社。海外パソコン企画部を経て、東芝ダイレクトPC事業の立ち上げを指揮。98年、日本ゲートウェイ入社。ノートパソコンおよび液晶一体型デスクトップパソコンのプロダクトマネージャーを努める。00年、レイヤーエイトテクノロジーズ入社。携帯向けJAVAソリューションの開発に従事。02年、トレンドマイクロ入社。