ユニバーサルデザインの実現が、リッチクライアントの正しい方向性の1つ──。明確な定義がないまま「リッチクライアント」という言葉だけが溢れるなか、リッチクライアント開発大手のエバンジェリストとして、1つの指針を打ち出した。
例えば、企業の財務会計システム。営業が見たい情報と経理のそれとは、職務の違いから自ずと異なってくる。「営業にとってはさほど重要でない伝票番号でも、経理にとっては一番目立つところに明示すべき情報」である。このため、営業用の操作画面には伝票番号を一番下に表示し、経理用では一番上に表示するなどの対応が求められる。
業務用のパソコンだけではない。例えば高齢者介護用の入力端末にもユニバーサルデザインは役立つ。「年齢や性別によってライフスタイルは異なり、入力する情報も違う。ハードウェアへの依存度が高かったり、サーバー集中処理を優先しすぎると、インターフェイスが画一的になり、使い勝手が悪くなる」
「特性や好みは十人十色。それに合わせて、最適な操作画面を自動生成する。ただし、データの正規化はクライアントで行い、バックエンドで動く業務ロジックには変更を加えない。これでコストの増大を防ぐ」。ユニバーサルデザイン化も進む。
集中処理と分散処理の利点を合わせてユニバーサルデザインを実現する。人とコンピュータのインターフェイスを担うクライアントの在り方そのものを問うメッセージである。
プロフィール
山形 浩一
(やまがた こういち)1965年、新潟県生まれ。91年、日本大学大学院文学研究科哲学専攻(修士課程)修了。同年、コンピュータ系のベンダーに入社。92年、システムインテグレータのミツイワ入社。99年、アクシスソフトウェア(現アクシスソフト)入社。営業・マーケティングを担当。03年4月、リッチクライアントエバンジェリスト(現職)。