パソコンおよび周辺機器メーカーを経営するだけでなく、オペラ歌手としての活動も精力的にこなす。音大在学中に学費を稼ぐため、東京・秋葉原で壊れた中古パソコンを買っては修理していたことが起業のきっかけになった。創業時は修理した中古パソコンをネットで販売していた。
言ってしまえば、「オペラ一筋では食べていけない」と、資金を稼ぐための起業。「もっと多くの人にオペラの良さを知ってもらいたい」と意欲的に活動し、音楽がすべてのエネルギーの源泉になっている。
企業経営も、考える力やイメージ力など「無から有を生み出す価値観は、オペラと同じ」という。何かを創るという1つの想いを現実にしていくための創造力を大事にしている。
今年3月に発売開始した27インチ液晶テレビは「9万9800円で売る」。大手メーカー製の液晶テレビと比べ破格の値段で発売できたのも、「実現すると強く想い続けて突き進んできたから」。口に出したら行動に移す。絶対あきらめないハングリー精神の持ち主だ。舞台公演で感動を伝えたいという感覚で、ハードとソフトを融合させたプロダクツを創っていく。
「リビングをデジタル化して何ができるか」を具体的に考え、しかもそれを簡単に使えるようにしたいという。「1つのボタンが世界を変える」製品を開発中、と強気だ。
「2005年は、今まで考えてきたコアを世の中に出していく大変革の年」と位置づけ、中期的には現在の約6倍の売上高100億円を掲げる。オペラだけでなく、IT業界での本気度も急加速させる。
プロフィール
安達 寛高
(あだち ひろたか)1972年生まれ、東京都出身。97年、国立音楽大学音楽学部声楽学科卒業。二期会オペラ研修所終了後渡欧し、イタリアなどで歌の勉強後帰国。00年、クイックサン設立。03年、ENCAD・Kodakの大判出力機および、3D印刷システム「Eyes 3D TOTAL Solution」の日本総代理店、Eyes Japanを設立。