ERP業界でのヒット商品「ProActive」の生みの親である。C/S型という新発想をERPの世界に持ち込み、日本でいち早く製品化した。
住商情報システム勤務時代に、企画から開発まですべて担当。開発をスタートした時は、課せられた業務が忙しかったため、帰宅後自宅での作業を続けたという。93年に初期バージョンを発売。以来、着実に実績を積み重ね、今では国産ERPの代表的商品へと成長した。
「企画段階から、自分が使う側だったら何が欲しいか、自分が営業だったら、どんな製品が売りやすいかを考えた」
「相手の立場に立つ」という考え方を、作る場でも売る現場でも重要視。経営者となった今でも方針は変わらない。自分が社員だったらどんな会社が良いかを考え、企業規模は決して大きくないながらも、社員の要望が強い教育には大企業並みの制度を用意。投資を惜しまない。
31歳の時に起業を決めていたほど、独立志向が強く、「東芝、住商時代は出世意欲が強かった」というが、起業家特有の排他的な上昇志向を感じさせない。経営は順調だが、会社を大きくすることが目的ではない。どことなく肩の力が抜けている。
ただ、「将来像は?」の問いには口調が変わる。
「“Made in Japan”の品質の高さをソフト産業でも世界に示したい」
柔らかな雰囲気とは裏腹に、世界市場進出にかける想いは強い。大ヒット商品を生み出したエンジニアは、今は経営者として世界をみている。
プロフィール
梅田 弘之
(うめだ ひろゆき)1957年生まれ。新潟県新潟市出身。静岡大学電子工学科卒業。80年4月、東芝入社。SEとして、主に工場向けシステムの開発に従事。89年、住商情報システム入社。同社のERPパッケージ「ProActive」を企画・開発。95年、パッケージソフト開発およびSI事業のシステムインテグレータを設立。代表取締役に就任。創業当時は、基幹業務系システム構築をビジネスの柱にしていたが、現在は自社開発パッケージソフト事業に集中。ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」は、合計900本以上を販売した実績を持つ同社の看板商品に成長している。