05年に取締役営業本部長への就任を言い渡された時、「私には荷が重すぎる」という気持ちが頭をよぎったという。自信がなかったのは、それまで管理部門で財務状況をつぶさに把握していたためだ。営業部門の頑張りが驚くほど高い数字に結びついていた。当時は、「相当な努力で業績を伸ばしている営業担当者を尊敬していた」と振り返る。そんなこともあって、「営業経験がない私が営業部門の取締役を任され、販売を増やせるわけがないと思った」という。
就任を承諾したのは、ある大手企業の女性CEOと雑談したことがきっかけだった。
「そのCEOから、『何事も“愛”を持って取り組めば上手くいきますよ』と励まされ、とにかく悩むより挑戦してみようと決断した」 以前勤めていた保険会社では、新しい社内システムの稼働に向けた企画運用と導入を手がけた。ニューテック入社後は、IPO準備チームの一員として株式上場に向けた実務も経験した。新しいプロジェクトは、苦しくてもそれに見合うやりがいをもたらしてくれる。
気持ちが固まった後は、「何にでも挑戦する」という持ち前の性格を生かして、迷うことはなかった。就任から1年半を経た現在、営業面で大きな成果に結びつけた。今年度(07年2月期)第1四半期の増収に加え、前年度に赤字だった営業損益を黒字に転換させた。
「営業職はまだ2年生。部下に教えられることのほうが多い」と打ち明けるものの、営業部門のトップとして会社の成長に大きく貢献していることは間違いない。
プロフィール
宮崎 有美子
(みやざき ゆみこ)1959年、愛媛県生まれ。82年3月、お茶の水女子大学文教育学部国文学科卒業後、同年4月に外資系損害保険会社に入社。損害調査部門で新事務システムやクレジットカードの付帯新サービス(商品補償)、事務管理部門で新保険種目システムなど社内システムの運用企画や導入に従事するほか、人事部門で実務アウトソーシングや早期退職プログラムの策定に携わる。00年3月、ニューテックに入社。管理部門の経理課長として総務・人事・経理の実務に従事するほか、IPO準備チームとして申請書類作成・審査対応などを担当。02年7月にJASDAQ上場を果たす。02年9月には管理部長に就任。05年4月に営業本部長、同年5月に取締役に就任する。