開発した「組込用顔画像処理ミドルウェアFSE」は、今年IPA(情報処理推進機構)のソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2007のグランプリを受賞した。エンジンを提供したサービス「顔ちぇき!~誰に似てる?~」は利用者が5000万人を突破する大ヒットとなった。だが、「周りはにぎやかだけれど、自分自身ではまだ達成感が得られていない」と打ち明ける。
大学時代からコンピュータ・グラフィックなど画像処理に興味があった。入社後、MIT(マサチューセッツ工科大学)の開発したGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)環境であるXウィンドウ・システムをOSへ移植する仕事に携わった。「所属していたコンピュータシステム開発本部は新技術に取り組む部署だった。アイデアをひねり出すのにSF小説を読みあさった」と振り返る。現在も新しい技術に挑戦し続ける日々が続く。
「休日は子どもとキャッチボールをしたり、自転車で出かけたり…」。張り詰めた気持ちをリラックスさせてくれるのが我が子。最近は忙しくて休日も仕事でつぶれることが多い。「とにかく、今のビジネスを軌道に乗せ、新規ビジネスを立ち上げるため、メンバーが一丸となって目標に向かっている時期」なのだ。
時折り、歩きながら「世の中に何かを残すにはどうすればいいのだろう」と思いにふけることもある。だが、今は後ろ指を指されないように正しく物事をこなして、前向きに評価されたいと願う。
「結果は後からついてくればいいのだから」
プロフィール
井上 清司
(いのうえ せいじ)■1962年、東京都出身。86年3月、日本大学理工学部卒業■同年4月、沖電気工業入社■88年4月、同社コンピュータシステム開発本部にてOSに関連する基本ソフトウェアの開発に従事。以後、さまざまなソフトウェア開発などに携わる■04年4月、金融ソリューションカンパニー ITインキュベーション本部 センシングソリューション開発部長■07年4月、情報通信グループインキュベーション本部 事業推進リーダに就く。