YDCでは、ERP(統合基幹業務システム)など「SI事業」の礎を築き、同社の「推進力」を担っているのが横井潤だ。1991年に入社した当時、火力発電所や石油プラントなどの制御システム開発を手がけた。「作業員の服を身にまとって、全国の人里離れたプラントで仕事をした」。それぞれに異なる大規模な制御システム開発を長年経験したため、コンピュータの知識には自信をもっている。
同社の「SI事業」は01年、オラクルのERPを同社が取り扱い始めたことに端を発する。このプロジェクトのトップに抜擢された。コンピュータは熟知していたはずだったが、「当時は、会計など業務システムの知識が乏しく、かなり苦労した」。だが、持ち前の粘り腰と才能を発揮し、プロジェクトを一気に軌道に乗せてしまう。
このところ、口に出して言うのは「フィクサーになる」ということ。社内外の業務システムを「つなぐ」技術を生かした「SOAソリューション」で、企業システムの全体最適化に関連するビジネスを「下支え」するIT業界の“黒子”として奮闘中だ。04年には、SAPのSOA製品対応を開始。以前から強みとしていたEAI/EDI技術を含め、今や「つなぐ」領域で他のSIerなどの追随を許さない。
本人は、強面の外見を気にする。確かに、初対面ではこちらも一瞬身構えた。だが、話を進めると、雰囲気は一変、気さくな人柄がにじみ出てくる。「(企業システムの)作り手は、人間と人間のつながりを一番に考える必要がある」。まずシステムありきだと、ユーザー企業に満足を与えられない。当たり前のことのようだが、本当にこれを実行できる数少ない人材だ。(文中敬称略)
プロフィール
横井 潤
(よこい じゅん)■1967年、東京都渋谷区生まれ、41歳。■91年3月、武蔵工業大学工学部電気電子工学科を卒業。■同年4月、YDCの前身、横河ディジタルコンピュータに入社。■07年11月、SOAソリューション第2センタ センタ長に就任。■趣味は、月2-3回はこなすゴルフと夏場のキャンプ、冬場のスキーなど。