日立電子サービスはもちろん、日立製作所グループの連結従業員約40万人のなかで、初めてITILの上位資格「ITIL Manager」を取得した人、それが松長由香里さんだ。
ITILは情報システムを効率運用・管理するための指標で、発祥地は英国。1980年代後半に策定された。日本への浸透は他のIT先進国に比べて遅く、日本語資料や日本人講師による教育が受講できるようになったのは2000年に入ってから。普及促進団体「itSMF Japan」が設立されたのも03年と遅い。
松長さんはそんな国内事情をものともせず、90年代前半からITILの調査・研究を始めた。持ち前の英語力で膨大な資料を日本語化し、本場の教育を受けるために海外にも積極的に出向いた。「itSMF Japan」の分科会メンバーとして書籍の翻訳も担当。国内のITIL普及促進の礎を築いた一人だ。
調査研究部門を離れた後は、コンサルティングサービス部門に配属。蓄積したITIL関連の知識とノウハウを武器に顧客システムの運用改善を手がけた。そして今は、海外部門に。日立電子サービスが来年度から中期的強化分野に挙げる戦略部隊で力を発揮している。
「ITILは完璧? そんなことはありません。有効なのは間違いないですが、指標の一つに過ぎません。大切なのは、顧客の現状を分析し、それぞれに適合した運用・管理方法を導き出すこと」。長年従事するITILへの思いは強いはずだが、それに拘泥しない。あくまで顧客の状況を大切にし、それに合ったプラン提供をモットーにする。
家庭に戻れば妻であり、8歳になる男の子の母親。主婦として家族の食事の用意を済ませて出勤し、帰りは保育園に迎えに行った経験もある。家庭と仕事の両立は聞くだけでも大変そう。それでも、「慣れてしまえば、ね」と笑顔。そんな立場を楽しんでいる様子で、「みんなを幸せにできるようなコンサルタントになれれば」とキャリアアップを見据える。
プロフィール
松長 由香里
(まつなが ゆかり) 1970年12月31日、兵庫県神戸市生まれで神奈川県横須賀市育ち。93年、東京女子大学英米文学科卒業後、日立電子サービスに入社。研究開発部門に配属。02年より「ITIL」の調査およびIT運用サービスの研究開発に従事。「itSMF Japan」が設立された03年からは、ITIL関連書籍の翻訳も担当した。06年、ITILコンサルテーションサービスの提供に従事。08年に現職。海外展開のための戦略立案を担う。