主要3キャリアの公式サイトとしてグランドオープンした女性向けモバイル情報サイト「ウーマンエキサイト」。コンテンツの企画や広告営業など、サイト運営を切り盛りするのが関野の役目だ。
「聞き役に徹する。こちらからの主張は極力行わない。意見を言ってもらったほうが効率的だし、結果的にトクすることが多い」と、関野はプロデューサーの心構えを話す。
「協調型」と自らを分析する関野は、チームを組むエンジニアやデザイナーの考えを汲み取りながら自分が考えるコンテンツを完成させるのがスタイル。入社直後に配属されたPCサイトの部署では、このスタンスで料理レシピや音楽アーティストのファンサイトなど、人気コンテンツを生み出してきた。モバイルに舞台が移っても、それは変わらない。
小さな頃から本を読むのが大好き。児童文学に始まり、今は川上弘美や吉本ばななといった純文学や推理小説に親しむ。「全体を見て分析するのが得意」と関野は話す。それは客観的な視点が求められるプロデューサーの資質につながる。その性格は、読書を通じてさまざまな視点からの観察眼を鍛えたことから培われてきたのだろう。
関野がこだわるのは「コンテンツの幅広さ」。サイトはファッション、料理、美容と多くのコンテンツを取り揃えた。対象を絞るサイトも少なくないが、「それでは窮屈。いろいろあったほうが、女性に使ってもらいやすい」と言い切る。
幕の内弁当のように色とりどりの食材を用意して「いつ食べても飽きないようにしたい」というのが関野の考えだ。コンテンツ企画のヒントは女友達との会話にある。料理やヨガに熱中する友人の話を冷静に聞き、「〝こういう心理でハマるのか〟と分析し、アイデアにしている」と微笑む。
一番の気分転換は、会社から自宅までのウォーキング。「頭がスッキリして、またやる気が出てくる」そうだ。グランドオープンから約1か月。見込んでいた数のユーザーは獲得できたが、プロデューサーとしての腕が試されるのはこれから。「もうひと勝負」と気を引き締めている。(文中敬称略)
プロフィール
(せきの ともこ)神奈川県厚木市生まれ。和光大学人文学部文学科卒業。評論・情報誌を発行する出版社に入社。その後、インフォバーン、ADKアーツなどを経て、07年、エキサイト入社。モバイルサイトのサービスに関わるようになり、現在、女性向けモバイル情報サイト「ウーマンエキサイト」のプロデューサーを務める。