「以前、仕事でつき合いのある方と街なかで偶然出会ったことがある。こういう“ご縁”をすごく大切にしたいと思う」。千葉雅美が日頃心がけていることはいたってシンプルだ。きちんと挨拶し、嘘をつかないこと、素直であることなど、「当たり前のことを確実に実行する」。
千葉が籍を置くのは、企業向けセミナーやコンサルティング、コンテンツ開発を手がけるナレッジネットワーク。福岡と東京に拠点を置き、全従業員が9人と小所帯の企業だ。近年、中小企業に新しいビジネスモデルを提案するビジネスプロデューサーの発掘・育成に注力している。運営母体である中小企業情報化支援協議会の事務局長には、同社の森戸裕一社長が就いている。
千葉は1人で東京オフィスに赴任し、コンサルタントであるビジネスプロデューサーとユーザーの間を取りもつ調整役を務めている。例えば、「中小企業が製品のプロモーションをする際に、そのストーリーづくりで、ビジネスプロデューサーを引き合わせる」。
大学時代は、IT業界に憧れを抱き、システムエンジニアを希望して新卒採用の面接を受けたが、面接官から指摘されたのは「人材育成に向いている」だった。新卒で入社したのは、メーカー系の大手人材育成企業。企業内研修の企画、講師を経験したが、「営業の現場を知らずに、営業のあり方を論じていいのか」と悩んだ。思い切って退職し、ベンチャー企業で生産管理システムの営業・導入支援業務などに従事した。「かたちのないものを売りたいと思った」。
「できることが限定されていないところがいい」と現在の仕事の魅力を語る。「若い時の後悔は、やってみての失敗ではなく、やらなくて失敗すること」。千葉のモットーである。(文中敬称略)
プロフィール
千葉 雅美
(ちば まさみ)1979年、兵庫県生まれ。メーカー系人材育成企業で企業内研修の企画、講師を経験。その後、ベンチャー企業の生産管理システムの営業・導入支援業務、組織活性化支援業務に従事。2009年から現職。クライアント企業の製品拡販プロモーションや営業組織の再構築、営業担当者・システムエンジニア育成支援などに取り組んでいる。