「人が人を呼ぶ」。インターネット関連のソリューションを提供するサイバーステーション社長の福永泰男は、「人」を通して多くのことを学んだ。
高校卒業後、得意のコンピュータスキルを生かして、上新電機傘下の三共ジョーシンに就職。パソコン専門店「J&P」の店員になった。「すぐにお客さんと仲よくなってしまう」という得意技を生かして、法人顧客の心をつかんだ。うれしそうに商品を紹介する福永の姿に顧客もうれしくなるのか、リピーターになって新しい顧客を紹介してくれ、またリピーターが増える──。この循環が、常に全社トップクラスの販売実績をキープする原動力になった。
インターネットの普及が始まった1990年代後半。その可能性に魅せられた福永は、23歳の時に会社を設立した。「若すぎる」と周囲に反対されながらも、やっとのことで始めた受託の仕事は順調だった。だが、朝まで仕事し続けることもざら。社員の一人が倒れ、会社をたたもうとも思った。副社長の村井将則に胸の内を打ち明けた。村井の口から出た言葉は、「自分たちで商品を作ってメーカーになろう」だった。
2006年、同じ金沢に本社を置くアイ・オー・データ機器と資本提携を結び、NASのファームウェア開発を担った。そのことが、ハードウェアとインターネットを組み合わせた「デジタルサイネージシステム」の開発に結びつく。これが「メーカー」としてサイバーステーションの名前を飛躍的に広める契機となった。
どうしたら顧客に喜んでもらえるか、皆が喜べるのか。ソフトウェア技術を磨きながら、福永は未来を紡ぐ。(文中敬称略)
プロフィール
福永 泰男
(ふくなが やすお)1974年、石川県生まれ。93年、高校卒業後、三共ジョーシン入社。98年、サイバーステーションの前身のドリームワークスを創業。2000年、サイバーステーションを設立、代表取締役に就任。