「起業家は“外”で戦わなくてはいけない」。「ガラパゴス」だったり、米国製品をもってきたりするだけの“内”向きな国内IT産業に疑問を投げかける。システム開発会社のニューテックスCEO、梅田茂利は中学卒業後、サウンドクリエイターとして活動していたユニークな経歴をもつ。音楽著作権ビジネスも手がけたが、失敗。米国に留学した。
シリコンバレーを擁するサンフランシスコ。当時暮らしていたレジデンスで、多くのベンチャー企業の経営者に出会い、感化された梅田は、大学受験から遠ざかった。帰国後、起業。開発を一から学んだ。その後、本格的に社員を雇い入れ、システム開発を開始した。資金繰りは苦労の連続だが、「有り金全部を突っ込む時がある。負ければそれまでだから」と腹をくくる。
今は一部上場企業からの仕事を受注できるようになり、社員も増えた。激務は避けられないが、乗り越えなければ成長曲線を描くことができない。社員のモチベーションを高めるために、梅田はある目標を口にする。「米国から20億円を引っ張ってくる」。トヨタ自動車やパナソニック。今をリードするグローバル企業は20世紀に生まれた。21世紀に入って、グーグルやアップルに匹敵する企業は日本に未だ現れていない。米国から資金を引っ張ることは大きな価値となる。
2010年、新しいビジネスモデルを携えて、20億円の開発費用を得るために渡米。シリコンバレーで「TechCrunch Disrupt」に出展した。グーグルやベンチャーキャピタルにも掛け合い、「日本発グローバル」を手中にしたいとひたむきに走る。「日本人の力が弱くなっている今、自分たちの世代が立ち上がらなくてはいけない」。日本から21世紀をリードする企業を送り出すことが梅田の夢だ。(文中敬称略)
プロフィール
梅田 茂利
(うめだ しげと)1982年、東京都生まれ。中学卒業後、サウンドクリエイターとして活動。音楽の著作権ビジネスを展開。その後、米国留学を経て、2006年、ニューテックスを起業。代表取締役CEOに就任。