シスプロは、IT人材の派遣やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスなどを手がけるITベンダーで、設立は1999年。大阪で誕生し、事業エリアを拡大して西日本地域をカバーした後、05年に関東へ進出した。人材派遣サービスの登録スタッフは、今年3月末時点で26万2500人に達している。ほぼ全国をカバーしたシスプロが、次に目をつけたのは海外だ。今は中国にターゲットを絞って、上海と武漢に子会社を設置し、今年から本格的に攻めに入った。その陣頭指揮をとるのが、丸山隆である。
丸山は、大学を卒業してシスプロに入社した。エリア拡大に合わせて、サービス・営業拠点の立ち上げを担当。大阪、神戸、京都、名古屋、そして東京と働く場所を変えてきた。そして、今度は中国。今夏、妻と小学1年生の長女とともに上海に移り住むことが決まっている。
丸山は、シスプロの「国際事業部ソリューション推進課セクションマネジャー」という肩書きのほかにも職名をもつ。それが「武漢市 招商局 日本代表マネジャー」。武漢市の役人として、日本企業の誘致活動を進めているのだ。武漢市が、シスプロのこれまでの中国での活動ぶり、日本での実績などを評価して、シスプロに依頼した。武漢市の名刺をもつ日本企業のビジネスマンは、丸山以外にいない。市の仕事を手伝うことで、丸山は市政府関係者との強力なコネクションを手に入れた。
丸山の父親は、シスプロの創業社長。それだけに、丸山にはシスプロの将来を担う責任があり、本人もそのことを自覚している。「40代は経験を積む段階ではない。だから、30代のうちにさまざまな経験をしておきたい。中国で成功して将来に生かす」。(文中敬称略)
プロフィール
丸山 隆
丸山 隆(まるやま たかし)
1973年、大阪府堺市生まれ。大阪商科大学経済学部経営学科卒業後、シスプロに入社。業容拡大に合わせて営業・サービス拠点の立ち上げ業務に携わってきた。2012年から国際事業部ソリューション推進課に籍を置き、中国市場での営業活動を精力的に行っている。