新規販売代理店を年間で数百社獲得するという目標を易々と達成したソフォスの鈴木敏通。敏腕営業マンそのものにみえるが、本人曰く「昔は営業なんて、絶対やるもんじゃない仕事だと思っていた」。
少年時代は筋金入りのゲームオタク。とくにロールプレーングゲームを好み、キャラクターがレベル99に成長するまでやり込まないと気がすまなかった。のめり込むあまり、プレーするだけでは飽きたらず、自分でゲームのキャラクターやストーリーを創作し、独自の世界を「妄想」することが趣味に。イラストを描いて食べていくことにあこがれ、玩具メーカーの商品企画部門にオリジナルのキャラクターを売り込むこともした。しかし、デザインやDTPの仕事はいくらか入ってきていたものの、自分の作家性を買ってくれる依頼はなかった。
クリエイターとしてはうだつが上がらない日々が続いていたある日、PCを販売する電話営業の仕事を紹介され、短期のつもりで引き受ける。営業なんて、と思っていた当時の鈴木だが、若さゆえ負けん気だけは強かった。我流のセールストークで、いつの間にかコールセンターのなかでトップクラスの成績を挙げていた。以来営業一筋に歩んできたが、鈴木に言わせると「ゲームのキャラクターを考えるのも営業も、筆で描くか商談をするかだけの違いで、『妄想を形にする』という点では同じ」。受け手の心理を推し量りながらシナリオを描き、それがヒットすることもあれば外れることもある。これもまたクリエイティブな仕事だとわかってから、自分が営業向きということにようやく気づいた。
芯の強さを感じさせるが、その性格すら、理想のキャラが自分に乗り移ったもので、妄想の産物という。「実際は昔のオタク時代と同じ、デリケートな性格なんです」とはにかむが、どちらが本当の鈴木だろうか。(文中敬称略)
プロフィール
鈴木 敏通
鈴木 敏通(すずき としみち)
1980年生まれ。フリーのイラストレーター、デザイナーとして活動後、PCメーカーの直販部門でコールセンターのオペレータとして勤務したのが、IT業界にかかわるきっかけ。ソフォスでは、代理店の新規開拓や販売支援を行うパートナー向け営業部門の責任者を務める。