佐藤智之は、アイティフォーの自治体向けBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)戦略子会社のアイ・シー・アールで、営業の最前衛を務めている。佐藤が担当する川崎市では、国民健康保険料などの収納業務をアイ・シー・アールとして請け負い始めてからの約5年間で、収納率が8ポイント近くも向上。政令市の「収納率ランキングで13位だった川崎市は、直近で4位にランクアップしている」と胸を張る。
コンタクトセンターからの電話やメッセージでの連絡だけでなく、必要に応じて市民宅に直接訪問して収納する。自治体向けBPOサービスを提供しているSIerは多いが、訪問収納まで手がけているケースは少ない。収納率をあげる最大のポイントは、「今の保険制度を維持するには、どうしてもあなたに支払ってもらわなければならない」ことを説明し、納得してもらうこと。とりわけ「あなたに」のところがポイントだ。
佐藤は、これまで水道管の継ぎ手や、情報システムを役所に売り込む会社で、営業一筋のキャリアを積んできた。駆け出しの頃は、民間とは大きく異なる役所の仕組みがなかなか理解できずに苦労した。仕事に集中できず、業務時間に営業車のなかで、つい昼寝をしてしまったのが上司にみつかり、こっぴどく叱られたこともあった。
転機になったのは、役所の担当者から「熱心に営業してくれるあなたから買いたい」と言われたことだった。俄然とやる気が出て、メキメキと“公共営業マン”としての実力を伸ばしていく。他の誰でもない「あなた」であり続けたいという熱意を、今のBPOの仕事にぶつけている。(文中敬称略)
プロフィール
佐藤 智之
佐藤 智之(さとう ともゆき)
1975年、千葉県生まれ。水道管の継手メーカーや情報システム会社などで自治体向けの営業を担当。14年、アイ・シー・アールで自治体向けBPO事業を担う。