米国・オハイオ州の高校に留学していた小田倉彦はある日、同じ高校に通う生徒から声を掛けられた。生徒はアメリカンフットボール部のメンバーで、キッカーを探していた。小田倉にとっての運命的な出会いだ。
サッカーJ1「鹿島アントラーズ」の本拠地・茨城県鹿嶋市で生まれ育ち、幼い頃からサッカーに取り組んでいた。アメフト部のメンバーの求めに応じてボールを蹴ると、実力が認められてチームに加わることになった。
そこから留学生活が一変する。アメフトは米国で超人気のスポーツ。週末の試合に出場すると、「忍者や侍のようだ」と校内で注目の的になる。小田倉は、徐々にアメフトのおもしろさにのめり込み、大学入学後に本格的に始めた。
アメフトは、試合に出る選手だけではなく、勝つための分析や戦術立案など、メンバーの役割が明確に分かれている。「皆で一丸となって取り組める究極のチームスポーツだ」と小田倉は説明する。
日本IBMに入社後は、製造業向けの営業を担当。顧客のことを徹底的に調べたり、臨機応変に対応したりすることには、「アメフトの考え方が生きている」と実感する。現在は、茨城県つくば市の企業に出向し、産学官連携で地域活性化を目指すプロジェクトに参加している。
所属する社会人クラブ「IBM BigBlue」の練習場は、千葉県八千代市にある。練習には週2回、仕事が終わった後につくば市から片道1時間半をかけて通う。他の業界で働く仲間から刺激を受け、仕事と競技を両立させる日々だ。
「やらずに後悔するのは嫌。本気で取り組めば、必ず道がみえる」をモットーに、仕事もアメフトも、常に全力を尽くしている。
多くのことを学んだスポーツを通じて、社会を盛り上げることが将来の夢。キッカーとして、大きなゴールを見据えている。(敬称略)
プロフィール
小田倉 彦
(おだくら げんき)
1988年5月、茨城県鹿嶋市生まれ。早稲田大学国際教養学部を卒業後、2012年に日本IBMに入社。高校3年時に留学した米国オハイオ州の高校でアメリカンフットボールに出会う。現在は社会人のクラブチーム「IBM BigBlue」に所属して競技を続けている。ポジションはキッカー。