中国・四国地区
SaaS販売・運用支援で商機
DCでSaaS/ASP強化のベンダーも
公共や医療などを得意とする岡山情報処理センターは、「クラウド/SaaS」を展開するにあたり「当社は提供主体にはならない」(森俊之社長)と、他の地域トップクラスのSIerとは一線を画す。SaaS提供に踏み切れば、持続的にサービスを提供するための設備投資が負担になるからだ。ただ、「例えば、(SaaS提供基盤を保有する)NECがSaaS展開する際には、そこへ当社のアプリケーションを提供し、SaaSアプリケーションの一つにしてもらうための活動は行っている」(森俊之社長)と話す。
具体的には学校図書館向けシステムや文書管理製品、グループウェアなどだ。
その一方で「NECなど大手メーカーが手がけるSaaS基盤を利用して、飯を食べていかないといけなくなる」とも考えている。「クラウド/SaaS」が顧客に浸透してくれば、求めるサービスの幅も広がることが予想されるためだ。こうした時期が来れば、NECが提供するSaaS基盤や提供アプリケーションを提案・販売することで補えるとみている。
流通や医療向けを得意にする松山電子計算センターは、SaaSに対して若干懸念を抱いている。「(富士通などの)大手メーカー主導でSaaSが展開されると、当社のような販売会社のビジネスはどうなるのかが心配」(山内博司社長)と話す。
しかし、大手メーカーは細かく地域を巡回して訪問販売することを苦手としている。そこで、小回りがきく地域販社の強みを生かし、「顧客ニーズを数多く聞き出していけば、SaaSのようなサービスに適した顧客は見つかりそう。従来(ITインフラを導入する)とは異なる仕組みなので、興味を抱いてくれる可能性はある」と商機をうかがっている。
公共向けシステムをメインに提供する高知県の高知電子計算センターは、県下の市町村に共通する業務のアプリケーションを割り出し、同社データセンター(DC)のサーバーで複数自治体がASP型で共同利用するシステムを提供している。この先は「県内の市町村に対する『SaaS/ASP』の利用を広げたい。難しいことだが、自治体側にはサーバーを置かず当社DCに集約していくことができればいい」(安部好夫常務)と、全国の複数自治体で進んでいるように、アウトソーシング型のサービス提供の強化を模索しているようだ。
製造業やケーブルテレビ向けシステムなどを手がける徳島県の富士コンピュータサービスは、「クラウド/SaaS」の時代が到来した際に実現できるビジネスモデルは四つほどあるという。まずは(1)データセンターを運営する、(2)そこに向けたSaaS型アプリケーションを開発する、あるいは(3)販売する、(4)売れ筋のSaaSアプリケーションもつITベンダーの販社として協力していく--ビジネスだという。同社の久米政雄社長は「すでにある大手メーカーのSaaS基盤に乗ったSaaSアプリケーションを販売する展開が主力になるだろう」と見込んでいる。「クラウド/SaaS」は、既存の企業システムと連携が必要になる。“手離れのいい”サービスではないため、地域販社の役割は重要になってくる。
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