中部地区(信越)
零細企業を「囲い込む」
“脱ハード”が鮮明化
信越地区は大手製造業や精密業の下請け業が多く、「リーマン・ショック」の影響をまともに受けた。もともと大手企業が存在せず、域内で顧客となるのは中小・零細企業。不景気の真っ只中で、最も「コスト削減」要求の厳しい領域だが、データセンター事業などで囲い込みが始まっている。
新潟県内の中小・零細企業のITシステムを最も多く手がけているCEC新潟情報サービスは、「ハードウェア指向からソフト・サービス指向」への移行に収益モデルを転換すべく体制を整えている。
同社の森山豊昭常務取締役は「“脱ハード”を合言葉に、運用保守、セットアップ、サービスによって収入を得る方向へ重心を移している」と方針転換の実状を語る。
新潟県内の企業では、オフコンや汎用機のリプレースが需要期を迎えている。こうした動きに向けて、いままでのようにクライアント/サーバー型の提案に力を注ぐのではなく、同社のデータセンターでのハウジングやホスティング、遠隔監視などの導入案件を増やし、「保守契約」でストックを蓄積するビジネスに変容させるため、保守技術要員を育成中だ。
長野県で最大手のSIer、電算もCEC新潟情報サービスと同様に、「ここ数年、レガシーシステムの置き換えが進んだ。こうした企業のシステムを当社のデータセンターで預かるビジネスを展開したことが、収益によい影響をもたらした」(黒坂則恭社長)と、ストックが09年3月期が過去最高業績となった要因の一つだったと語る。
民需では、県内に大企業が存在しないため、こうした囲い込み策をさらに強化する。そのため、同社はこのほど、本社近くに新DCを着工した。
[次のページ]