シネックスインフォテック
新基幹系システムを本格稼働
メーカーと情報共有
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| 坂元祥浩執行役員 |
シネックスインフォテックは、2月12日、「CIS」という世界共通の基幹系システムを稼働させた。この基幹系システムを使ってメーカーに有益な情報を提供し、販社を支援する。
「CIS」で強化したのはレポーティング機能だ。販売データをベースに、製品や地域、顧客などをマトリックスで自動分析する。坂元祥浩・執行役員アドミニストレーション担当兼経営企画部長は、「さまざまな角度で分析できるので、マーケットを捉えてすばやく戦略が立てられる」と自信をみせる。
短期間のスケジュールのなかのシステムの切り替えで、社内には多少混乱がみられ、「一部の取引先にはご不便とご迷惑をかけてしまった」というが、販社が利用する受発注システムに関してはプロント部分をまったく変えておらず、稼働から1か月以上が経過した現時点でも大きなトラブルはないようだ。
シネックスが新基幹系システムにリプレースしたのは、共通システムによるグループ全体での情報共有が狙いだが、「パートナーであるメーカーと情報を共有できることもメリット」という。シネックスグループは、顧客の販売データを分析することで、今後どのような製品が売れるのかをメーカーにフィードバックすることが自社のビジネス拡大につながると判断しているからだ。特定メーカーと組んで、マーケットに適した製品をメーカーに開発してもらうことが、「結果的に販社やユーザー企業のメリットにもつながる」(坂元部長)と考えている。
「CIS」の稼働を最初のステップとすれば、次のステップは「ウェブEDI『BEACON(ビーコン)』を今年中に刷新すること」(坂元部長)だ。「BEACON」は現在販社の9割が活用しており、受注率が全体売上の13%、法人向け製品に絞ると18%だという。坂元部長は、「一時期は全体で20%、法人向け製品では25%に達していた。利用率は年々減少している」と打ち明ける。今後は、シネックスが企画し、メーカーが開発した製品が国内市場向けに次々と登場する可能性があることから、これらの製品に関する独自の情報提供を「BEACON」上で拡充し、利用率を高めていく。
さらに「CIS」と連動して、販社にとって使いやすい、使いたいと思う仕組みも構築していく。坂元部長は、「実際に販社の管理部門から、社内の購買サイトとして使いたいという要望で、実際に構築したケースもある。こうした案件も増やしていきたい」としている。

「BEACON」のトップページ
(提供:シネックスインフォテック)
大塚商会
「BP PLATINUM」でCSを強化
“コンビニ”を目指す
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| 海老塚誠課長 |
大塚商会は、販社向けウェブEDI「BP PLATINUM(BPプラチナ)」をCS(顧客満足)強化ツールとして位置づけている。また、販社の誰もが便利に利用できる「コンビニエンスストア」のようなシステムを目指しており、使いやすさに配慮している。
「BP PLATINUM」の会員は、全販社の約25%。受注率は、全体売上の10%程度という。利用率は、昨年と比べて10%増加。海老塚誠・ビジネスパートナー事業部企画販促課長は、利用率が増えている理由を「当社の営業担当者が販売パートナーを訪れる際に利用を促している」と語る。営業担当者が販社と商談している際に代わりに注文することもあって、「CS向上にもつながっている」という。
「BP PLATINUM」は社内の基幹系システムとつながって、販売データを中心とする販社の情報をデータベース(DB)化している。社員全員が「BP PLATINUM」の操作方法を熟知しているので、販社から「先日購入した商品はいつ納品になるのか」「使い方を教えてほしい」といった問い合わせがあっても、柔軟に対応できる。さらに、営業担当者がDBを参照して、販社に対して「ここにサーバーのリプレースを促してみてはどうか」「ここはライセンス販売のタイミングにきている」などと提案していることも、販社の大塚商会に対する信頼を高めている。
「BP PLATINUM」について、海老塚課長は「機能や掲載している商品、価格などは、他社のシステムと大きな差はなくなってきている。だからこそ、利用のしやすさや使いやすさを重視して、販売パートナーが必要な時に、気軽に入って購入できるコンビニエンスストアのようなシステムを目指している」という。今後は、ログインの簡略化や見積もり機能のなかにソフトライセンス更新が簡単にできる機能を付加するなど、「パートナーが煩雑だと感じていることを解消する」としている。また、販社に対して受発注システムであることを改めて認識してもらうために、「よけいな機能をなくしてシンプル化することを検討する」という。
SMBのIT投資が活発化しつつあるなかで、昨年はビジネスパートナー事業で増収増益を果たした。今年に入ってからも、「昨年に引き続き増える手応えを感じている」(海老塚課長)という。パートナーに「BP PLATINUM」を使ってもらい、大塚商会自身が業務の効率化を図ることができたのと引き替えに、今度は販社と大塚商会の営業担当者がSMBを攻める戦略をいっしょに考える──。このサイクルを確立するためには、「BP PLATINUM」は欠かせないシステムなのだ。
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