ITベンダーは、2014年4月9日にサポートが終了する「Windows XP」の移行支援に全力を傾けている。しかし、サポートが終了するのはWindows「XP」だけではない。今のところはまだあまり騒がれていないが、15年7月14日には「Windows Server 2003」のサポートも終了することになっている。国内法人市場には、いまだ多くの「Server 2003」が稼働しており、サーバーOSの移行に要する期間がクライアントOSと比べて長いことを考慮すれば、現時点でも十分な時間的猶予があるとはいえない状況だ。移行を進めるうえで浮上する課題は多い。それに対してITベンダーはどのような対処をすべきかを追った。(取材・文/真鍋武)
今すぐに取りかかるべき「Server 2003」の移行
残された時間は意外に短い
●「XP」に気を取られるな 
日本マイクロソフト
吉川顕太郎 本部長 2014年4月9日(日本時間)にクライアントOS「Windows XP」のサポートが終了することを受けて、多くのITベンダーは「XP」移行支援サービスを展開し、乗り換え案件の獲得に躍起になっている。本紙も、2013年はたびたびこの話題を報道してきた。調査会社のIDC Japanの調べによれば、サポート終了まで残り9か月と迫った13年6月末時点で、法人市場に約1080万台の「XP」が残っていただけに、移行を早急に進める必要があったからだ。この移行の対応に追われて、SEの不足を訴えるITベンダーが多い。IDC Japanによると、サポート終了後の14年6月末時点でも約371万台の「XP」が残るという。今後も需要が期待できることから、サポート終了に関する注目は、現在のところ「XP」に集中している。
しかし、サポートが終了するWindowsは「XP」だけではない。忘れがちだが、15年7月14日には「Windows Server 2003」のサポートが終了することになっている。ITベンダーは「XP」だけでなく、「Server 2003」の移行支援にもっと目を向けなければならない。残された時間は短く、すでに余裕がある状況ではないのだ。
●ゼロディ攻撃の危険性 「XP」と同様に、「Server 2003」のサポートが終了すると、マイクロソフトからセキュリティの更新プログラムが提供されなくなる。これによって、「Server 2003」で稼働しているサーバーは、ぜい弱性を抱えることになってしまう。日本マイクロソフトサーバープラットフォームビジネス本部の吉川顕太郎本部長は、「あるバージョンのOSで、セキュリティのぜい弱性が見つかると、それよりも古いバージョンのOSも同様のぜい弱性を抱えることになる。なぜなら、OSは同じソースコードを引き継いで進化しているからだ。例えば、最新の『Windows Server 2012 R2』でぜい弱性が見つかれば、古いOSである『Server 2003』は、サポートが終了した途端にゼロディ攻撃を受ける危険性がある」と指摘する。サーバーには企業の機密データが格納されているうえ、サーバーにアクセスするユーザーのすべてがセキュリティリスクを抱えることになるので、クライアントよりも危険性が増すことは自明の理だ。
また、サーバーの法定耐用年数が5年と定められているように、「Server 2003」で稼働しているサーバーは老朽化しているケースが多い。処理性能が落ち込んで、ユーザーの生産性を低下させている可能性もある。
●認識されにくいサーバーの存在 ITベンダーがユーザーの「Server 2003」の移行を、できる限り早急に進めなければならないのには、大きな理由がある。IDC Japanによると、2012年に国内法人市場で稼働していた「Server 2003」の台数は約45万台(図1参照)。国内法人市場では、1年間におよそ60万台のサーバーが出荷されていることを考慮すれば、膨大な台数が残っているといえることになる。
さらに、サーバーは専用ルームに格納されていて、ユーザーが普段目にしない場所にあるので、「Server 2003」が稼働していることを認識すらしていない企業もあると考えられる。基幹システムを購入した際に、ハードウェアとセットになっていて、知らず知らずのうちに「Server 2003」を使っていたり、情報システム担当者がいる企業でも、「Server 2003」の導入以降に担当者が変わってしまって、現行システムがどのサーバーOSが稼働しているか認識していなかったりするケースもある。
●クライアントと同列に捉えるな また、クライアントOSと比較した際、サーバーOSの移行作業には時間がかかるという問題がある。とくにアプリケーションサーバーでは改修作業が必要になるので、調査から設計、構築、導入、検証、安定稼働の確認と、一連の移行工程を安心・安全に行うには、かなりの時間を要する。それも、スクラッチ開発した業務システムを「Server 2003」上で稼働させている場合には、改修にかかる時間はさらに増える。スケジュール遅延などのリスクを回避することも考慮に入れれば、トータルで1年間はみておいたほうがいい。
IDC Japanの調査によると、「Server 2003」ユーザーのうちの約3分の1は、サポート終了のことを知らなかったり、計画を立てていなかったり、終了後も使い続けたりするという(図2参照)。情報システム担当者がいない中堅・中小企業(SMB)では、対応策を検討できていない割合がさらに高いことが容易に想像できる。移行を進めていくうえでさまざまな課題が浮上していくことは間違いない。以下、顕在化しそうな課題と、それに対する解決策を探っていこう。
ユーザーの潜在的課題と解決策
「Windows Server 2003」の移行を進めるうえで浮上しそうなユーザーの課題の多くは、「XP」移行と共通している。ここでは、とくに深刻化しそうな三つの課題を取り上げ、それに対する解決策を、ITベンダー3社(大塚商会、リコージャパン、CSK Winテクノロジ)の取り組みとあわせて紹介する。
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