業績好調の背後に変化あり
すべては「Digital」に集約
SIer主要50社の直近の決算をみると、昨年度から引き続き情報サービス業界の好調ぶりがうかがえる。ただ、ビジネスのスタイルは昨年度と同じというわけにはいかない。これまでよく耳にしたソーシャルやモバイル、アナリティクス、クラウドにセキュリティの頭文字を加えた「SMACS」が、今年に入ってから「Digital(デジタル)に変わった」とNTTデータの岩本社長は話す。
実は日本タタ・コンサルタンシー・サービシズのラクシュミナラヤナン社長も、昨年までSMACにロボティクスを加えた“デジタルファイブフォース”を提唱していたが、今年はそれらをDigitalの一言で表すようになった。
ここでいうDigitalは、SMACSやロボティクスだけでなく、オムニチャネルやIoT、インダストリー4.0、FinTech(金融とITを掛け合わした造語)、決済サービス(ペイメント)など、ITが絡む領域すべてを含んでいる。「Digitalで経営をトランスフォーメーション(変革)する」(岩本社長)ことがSIerに求められているのだ。
例えば、ASEANをはじめとする成長市場では、決済サービスからオムニチャネル、マーケティングまでを、SIerがある種のBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)方式で請け負い、「金融機関やユーザー、代理店を“Digital”でつなげる」(NTTデータの本間洋・取締役常務執行役員)案件も増えている。
最先端のテクノロジーをキャッチアップするのはもちろん、足下のビジネスに満足するのではなく、ほぼ無限に広がるDigital領域で、自社の成長につながるビジネスを開拓していく姿勢が欠かせない。