アイティーシェルパ SNSアプリが“金の卵”

川野泰久
代表取締役 SIに加えてパッケージやアプリケーションの開発も手がけるアイティーシェルパは、最近になってSNSアプリの開発が順調に推移している。売上全体の20~30%を占めるまでに成長しており、ベトナムのオフショア拠点も設置。システム構築が主力の同社にとって、スマートフォンアプリ開発は“金の卵”に位置づけられる。
同社がスマートフォンアプリの開発に踏み切ったのは、スマートフォン需要が急増し、SNSを利用する傾向が高まった数年前。クラウドサービス事業者にアプリを提供するSNS運営会社とパートナーシップを締結した。運営会社は小規模ではあるが、アプリをきっかけに月商1億円を達成。「軽いノリで開発してみようということで着手することになった。しかし、実際に開発してみると利用者が一気に増えて、当社とパートナーの運営会社の双方にメリットをもたらした」と川野泰久代表取締役は経緯を語る。

眞鍋 立
課長 SIの応用で以前からビジネスとして手がけているパッケージ開発に関しても、EC/通販システムが多くのコールセンターをユーザーとして獲得している。眞鍋立・営業課長は、「福岡県はEC事業者が多いから伸びている。しかも、ユーザー企業のコールセンタースタッフが使いやすいよう汎用的な機能を搭載していることも販売が増えている要因」としている。同社は、スマートフォンアプリとパッケージ販売で、ここ数年、増収増益を果たしている。
九州シー・アンド・シーシステムズ 2020年までに方向転換を実現へ

永野宏司
代表取締役 金融や商工業、流通を中心としたシステム構築、アプリケーション開発などを手がける企業として、1987年に設立した九州シー・アンド・シーシステムズは、来年で30周年を迎える。節目の年を迎えるということで永野宏司代表取締役が描いているのは、「30周年を迎えて3年以内、遅くても2020年までには今までの方向性を変える」ということだ。今は、その準備を進めている。
準備段階ということで、現段階で取り組んでいるのはサービス化だ。これまでオンプレミス型のシステム構築が主流で、「いわゆる“ワン・バイ・ワン”だったが、この時代にユーザー企業を増やしていくには広く提供できるものでなければならない」と永野代表取締役は捉えている。そこで、人事給与や人材管理などのシステムをクラウド化。有力な既存顧客40社に対して提案しているほか、パートナー企業の発掘に力を入れている。信用金庫向けに提供している反社会的勢力・事故情報管理システムもクラウド化しており、「九州と関西の共同センターをユーザーとして獲得した」という。
また、社員の人材育成にも力を入れていて新卒を積極的に採用しているほか、教育予算を立てて社員がさまざまな研修を受けられる環境を構築。「今後は、『システムインテグレーション』ではなく、『ビジネスインテグレーション』を行うことができる人材を育てていく」との考えを示している。サービスと優秀な人材によって今後の成長を狙う。
HAT インバウンド向けツアー管理を拡販したい

南 壽郎
代表取締役 HATは、通信販売のトーカ堂や八百屋のJR九州ファームなど、九州を本拠地とする企業の通販サイトを成長へと導いている。築地市場に精通した仲卸が選ぶ食材を販売するサイト「築地卸どっとこむ」など地域を問わずにシステム構築も手がけている。ECサイト構築に関しては、多くのユーザー企業を獲得しており、収益も順調に伸ばしているが、HATが今、力を入れているのがインバウンド向け団体旅行ツアー管理システムの拡販だ。
中国を中心に、さまざまな国から観光客が訪れているほか、2020年に向けては東京五輪の効果でさらに増えることが予想されている。このような状況をビジネスチャンスと捉え拡販を図ろうとしている。「日本は“おもてなし”が評価されて旅行先に選ばれているが、一方で旅行会社は急なキャンセルへの対応など煩雑な業務が増えている。当社のシステムを導入することで、旅行会社が業務を効率化しながら観光客へのサービス向上を実現する環境をつくりたい」と南壽郎代表取締役は考えている。
同社のインバウンド向け団体旅行ツアー管理システムは、電話やFAXでの確認作業が減ることによるコストの削減、予約変更やキャンセル時の自動通知機能(メール)による手仕舞い確認作業の軽減、指定日付の予約状況確認による把握のしやすさといった機能が強みだ。南代表取締役は、「パッケージ化を検討して販売パートナーを開拓していく」との方針を示す。
[次のページ]