ピー・ビーシステムズ 「SCL」と「EMO」の二本柱で拡大
ピー・ビーシステムズは、360度スクリーンに囲まれた空間に3D映像が観客を突き抜ける効果を実現したVR超3Dシアター「4D王」をもつことで有名だ。4D王の技術は、国際特許を取得しており、沖縄、福岡、東京で開催されたイベントなどで採用された実績がある。冨田和久代表取締役社長CEOは、「アジアをはじめ、全世界での販売を加速する」方針を示している。4D王をベースとしたEMO事業(エモーショナルシステム事業)は、売り上げと利益ともに大きく事業領域の幅も広いため、急成長の可能性を秘めている。

冨田和久社長CEO(写真右)と森﨑髙広取締役
ピー・ビーシステムズはもともと、ソフトウェアの受託開発を手がける会社として1997年2月にスタート。創業2年目でシトリックス・システムズ製メタフレーム(現XenApp)を使った仮想化をベースとしたビジネスを手がけるようになった。クラウド化の実現に向けたインフラ構築、クラウド上で稼働するアプリケーションシステムをスクラッチ開発するシステム開発、クラウド環境での問題点を解決する自社パッケージの販売という三つで構成されたSCL事業(セキュアクラウドシステム事業)は、「創業以来、多くのユーザー企業を獲得し、安定的に収益を確保している」と森﨑髙広・取締役製造本部長技術フェローはアピールする。とくにインフラ構築では歴史が長いことから国内有数の技術力を誇っている。ピー・ビーシステムズでは、今後もEMO事業とSCL事業の二本柱でビジネスを拡大していく。
福岡情報ビジネスセンター 顧客が成長する“仕組み”をつくる

武藤元美
代表取締役 福岡情報ビジネスセンターは、日本IBMのビジネスパートナーであることからコグニティブ・テクノロジーの「IBM Watson」やPaaSの「IBM Bluemix」など最新のテクノロジーを使ったソリューションの提供など、「ユーザー企業が成長するための“仕組み”をつくる」(武藤元美代表取締役)ことに力を入れている。単なるSI事業を手がけているだけでなく、CIOのようにITを活用したビジネス拡大に向けた道筋を立てることで、多くのユーザー企業を獲得している。
武藤代表取締役は、UOS(ユーオス・グループ)理事長とIBM九州研究会会長も務めている。このような立場から、「IBM製品を中心としたソリューションの創造で九州を元気にしたい」と考えている。このほど開催された日本IBM主催のハッカソンを起点とするイノベーション創出プログラム「イノベート・ハブ九州」では、「かなり盛り上がった。イノベート・ハブ九州の成果と、『競合のなかに協業あり』という九州を拠点とする企業に根付く精神で、新しいソリューションが生まれる可能性が高い」とみている。
また、UOS理事長の立場で迅速なシステム開発・運用の実現を目指す「DevOps推進協議会」に参画。「ユーザー企業のビジネススピードに対応するためには、SIerも変わらなければならない」と武藤代表取締役は訴える。UOS会員企業をはじめとしたSIerによるビジネスモデル変革の実現に向けた取り組みを進めている。
インテリジェント・パーク “飛び道具”であるITの有効活用を提案

荒添美穂
代表取締役 インテリジェント・パークは、経営力・組織力・人材力を高める経営コンサルティング会社。福岡や北九州の中小企業を顧客対象にビジネスを手がけており、50社程度の優良顧客を獲得している。荒添美穂代表取締役はITCでもあり、その立場から多くの中小企業のIT化を成功させた実績をもつ。また、中小企業基盤整備機構の九州本部CIO育成支援チーフアドバイザーとしても活躍する。
九州のIT市場について荒添代表取締役は、「IT投資は拡大しているものの、とくに中小企業は二極化している」と訴える。世界に取り残されないよう、IT関連の製品・サービスを導入することに積極的な企業もいれば、システム担当者の不在でIT化に無関心な企業もあるという。そのため、「初期投資が少ないクラウドサービスを推進、IT化を促すケースもある。ITがビジネスを拡大するための“飛び道具”であることを提案していきたい」との考えを示す。
記者の眼
福岡県を本拠地とするSIerを取材してわかったのは、他の地域では一つの産業が強いと、その産業に特化したビジネスを手がけるSIerが多いが、福岡県では幅広い産業を見据えてビジネスを手がけているケースが多いということだ。また、国内や海外などでのビジネス拡大を進めながらも、まずは福岡を中心とした九州地区のIT市場を拡大しようとしているSIerが多いのも特徴的だった。福岡の各SIerが協業し、それぞれの強みを組み合わせた製品・サービスの提供が増えれば、福岡IT市場はさらに活性化するといえる。