AIoTは企業向けITの基盤となる NECはパッケージ化でIoTとAIの関係を鮮明に
NECは9月29日、IoT基盤「NEC the WISE IoT Platform」を発表した。IoTシステムを構築するための基盤だが、ポイントは分析エンジンでAIを搭載しているところにある。まさにEnterprise AIoTを実現するための基盤というわけだ。ちなみに、同基盤の名称で使われている「NEC the WISE」は、NECのAI技術群を意味するブランド名である。

「これまでの情報システムは効率化が大きなテーマだったが、IoTでは価値を生み出すことがシステムの役割となる。その価値を見出すところでAIの活用が必要となる」と、望月執行役員はIoTとAIの関係と役割について説明する。また、顧客となるのは、情報システム部門ではなく、現業(現場)部門が相手になることが多いため、NECではIoT基盤として体系化し、仮説/立案/検証のプロセスを明確にして、わかりやすくした。
また、IoT基盤にAIが加わることの効果について、望月執行役員は「価値創造のプロセスが変わってきている。IoTで得たデータはAIを通すことによって、業務の圧倒的な効率化、そして経営判断に有効な高度な示唆が得られる。この両方により、価値の創造へとつながっていく。世の中を変えつつあるのは、間違いなくIoTとAIの組み合わせ」と語る。
“攻めのIT”というキーワードがある。ユーザー企業にIT投資を促すのが目的で、きな臭さがあったが、IoTとAIの組み合わせで価値を生むことになれば、“攻めのIT”が生きてくる。Enterprise AIoTの神髄は、そこにあるのかもしれない。
中小企業向けIoTで地方を元気に!
経済産業省が後押しする「スマートものづくり応援ツール」
地方を元気に!なんて大きなお世話だと思う工場主もいるだろうが、経営が順風満帆だとしても、IoTツールを活用すればもっとスマートな工場になるはず。ということで、経済産業省が中堅・中小製造業向けにIoTツールの普及を後押ししている。
その第一弾が、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が10月4日に発表した「スマートものづくり応援ツール」だ。
経済産業省の支援のもと、中堅・中小製造業が簡単に、低コストで使えるIoTツールであることを条件として、7月27日から8月26日まで全国から募集した。応募があったIoTツールのなかから選定したのは106件で、RRIのウェブサイト(
https://www.jmfrri.gr.jp/info/314/)で公開している。

スマートものづくり
応援ツール
松島桂樹
審査委員長 「IoTツールを普及させるにあたって、まずは工場の経営者に知ってもらわないといけない。そのため、全国からIoTツールを募集した」と松島桂樹・審査委員長は語る。IoTツールの選定にあたっては、現場感覚の判断を重視し、工場経営者が審査委員を担当した。中堅・中小製造業に役立つIoTツールというわけだ。RRIのウェブサイト上では、審査委員が選んだツールに対する寸評も掲載されている。
しかしながら、ウェブに情報を公開しただけでIoTツールの導入が進むというほど簡単なら苦労はしない。ましてやモノを扱う製造業。実物を見せることが、大きな判断材料となる。そこで第二弾として、「今後は各都道府県に拠点を設置し、実物を見せることで導入促進を目指す。工場経営者にはIoTツールが同じに見えがちだが、意外と大きな違いがある。その説明には、支援者が必要」(松島審査委員長)としている。
経済産業省の狙いは、IoTによる地方の活性化にある。一方、IT業界としては、クラウドやAIといった先進的なIT活用へのきっかけとしてIoTに大きな期待を寄せている。IoTツールの募集は、第二弾、第三弾と続く予定である。
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