コスモサミット 特定業界の生産管理に手応え
金沢の大手ITメーカーであるPFUの関連会社、コスモサミットは製造業や繊維業を対象とした生産管理やスケジューラ、温泉旅館向けの業務システムなど、一つの業界に特化した製品・サービスをソリューションとして提供している。そのなかで今、力を注いでいるのが鋳造業向け生産管理。いくつかの案件を獲得し、各ユーザー企業に適したシステムの構築を進めている。

真田清司
常務取締役 鋳造業は、鉄やアルミ合金など材料を熱して液体にした後に型へと流し込んで冷やして形状に固めるという特殊な加工方法で生産している。そのため、一般的な生産管理システムでは対応できないといわれている。他社では、従来の製品に鋳造業に対応できる機能を搭載して提供しているケースが多いが「当社では、完全に鋳造業に特化した製品を開発した」と、真田清司・常務取締役は他社と差異化を図っていることをアピールする。第一段階として、パッケージの開発を果たしたが、「もっとブラッシュアップして、スムーズに横展開できるようにする」と製品強化を進める方針を示している。
同社の売上比率は、受託開発が45%と最も多く、ソリューション提供が40%、SEの派遣が15%という構成。今後は、ソリューション提供の比率を高める方針だ。もちろん、業界を問わない製品・サービスも販売しているが「他社と一線を画すためには、特定業界にフォーカスすることが必要」と真田常務取締役はかみ締めている。これによって、コスモサミットでは増収増益を確保している。
サイバーステーション さまざまな角度でサイネージの提供へ

福永泰男
社長 デジタルサイネージ関連ソリューションの「デジサイン」によってSIerからITメーカーへと変貌を遂げたサイバーステーションは、販売代理店が200社弱、100程度の金融機関をユーザー企業として獲得するなど、ビジネスが好調に推移している。このデジタルサイネージ関連ビジネスで、次のステップとして見据えているのがAI/ARとの連携だ。福永泰男社長は、「製造業向けに開発を進めている」ことを明らかにしている。
デジタルサイネージの用途は広がっている状況で、「本部で情報を配信し、工場のスタッフやトラックの運転手が、その情報を活用するなど、労働現場で使う傾向が高まっている」という。一般オフィスでも、社員が周知しなければならない情報を配信するために社内で導入するケースも多くなってきた。さらに、デジタルサイネージを使って「インバウンド向けの取り組みも進めている」としている。
現在の売上比率は、北陸が5%程度、東京など首都圏が残りを占めている。都心でのビジネスが盛んではあるものの、金沢に本社を構えているのは「全国的に金沢は、人口などが『ちょうどよい』といわれており、新しいソリューションを検証しやすい地域であるから」だ。最先端施設「北陸StarBED技術センター」でテストベッドが活用できるなど「新しいソリューションを創造する検証の場が近くにあることもメリット」としている。
シーピーユー スマートデバイス向けCADを追求
国内初のPCによる建築CADシステム「まどりくん」を発売して以来、建築関連の製品・サービスを提供しているシーピーユーは、昨年度(2016年3月期)に過去最高の利益を記録した。今年度は、新しい製品開発を進めている。

宮川昌江
代表取締役 その一つがスマートフォンやタブレット端末などスマートデバイス向けの製品・サービス。今でも対応しているものの、「もっと手軽さを追求しなければならない」と宮川昌江代表取締役は捉えている。
同社は、建築3次元CAD「MADORIC・AD-1」をはじめとして、土木積算システム「GOLDEN RIVER土木」や住環境シミュレーションツール「Madric EcoNavi」、省エネ住宅設計支援ツール「建もの燃費ナビ」、プレゼンボード作成「PRESEN MAGIC」、無料間取り作成サイト「まどりナビ」など提供してきた。テンプレート型ウェブサイト作成サービス「ホームページファクトリー」や汎用見積プログラム「みつもりフレスティ」など、建築業務周辺の製品・サービスも市場に投入している。
宮川代表取締役は、「これまでユーザー企業の声を反映するように開発してきた」という。そのため、スマートデバイスでの活用が、あたりまえの世界になるような機能を施行錯誤中だ。
建築業界以外では、自治体向けに電子回覧板、観光業向けに観光案内アプリ「きてねっと」なども開発している。このような取り組みで20年度には売上高を今年度と比べて約30%の成長を目指している。
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