新春特集の第2弾は、週刊BCN編集部の総力を挙げた有力ベンダーのトップへの直接取材をもとに、法人向けIT市場の現在と半歩先の姿を展望する。日本のIT産業を代表するSIer、IT販社、ディストリビュータ、基幹業務ソフトベンダー、合計69社のトップの目には、どんなチャンスと課題がみえているのか。各社トップに対する共通質問への回答から読み解く。(構成/本多和幸)
回答いただいたITベンダー
アイティフォー、アイネット、内田洋行、SRAホールディングス、エス・アンド・アイ、NECソリューションイノベータ、NECネクサソリューションズ、NECフィールディング、NSD、NTTコムウェア、NTTデータ、NTTテクノクロス、NDIソリューションズ、エプソン販売、OSK、オービックビジネスコンサルタント、応研、OKIデータ、関電システムソリューションズ、キヤノンITソリューションズ、京セラコミュニケーションシステム、クロスキャット、コア、CAC Holdings、JFEシステムズ、JBCCホールディングス、シネックスインフォテック、新日鉄住金ソリューションズ、ソフトクリエイトホールディングス、ソフトバンク コマース & サービス、ダイワボウ情報システム、都築電気、TIS、TKC、DTS、電算システム、電通国際情報サービス、東芝ITサービス、東芝クライアントソリューション、日興通信、日商エレクトロニクス、ニッセイコム、日本事務器、日本情報通信、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ、日本電子計算、ネットワールド、ネットワンパートナーズ、野村総合研究所、PE-BANK、ピー・シー・エー、日立システムズ、富士ソフト、富士通エフ・アイ・ピー、富士通エフサス、富士通ビー・エス・シー、富士通マーケティング、フューチャーアーキテクト、ブラザー販売、豆蔵ホールディングス、三井情報、ミツイワ、ミロク情報サービス、ヤマトシステム開発、弥生、ユーザックシステム、ユニアデックス、理経、菱洋エレクトロ(計69社、五十音順)
Q1 2018年、法人向けIT市場はどの程度拡大する?
働き方改革やDXは継続的にIT需要を支える
70%超が、「0~4%」の微増になると回答した。以下、「5~9%」の成長が36%、二桁成長すると答えた回答者は3%で、1人を除き、ほぼすべてのトップが、18年の法人向けIT市場は成長するとみている。
働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)といったキーワード、概念の浸透度合いに比例して、ユーザー側のIT投資のモチベーションは高まっており、このトレンドはある程度普遍的かつ継続的なものになると考えているベンダーが大勢を占める。「業務のIT化に対する需要は、強まることこそあれ、弱まることはない」という趣旨の発言がさまざまなベンダーから聞かれたのは象徴的だ。
ただし、多くのベンダーがフォローの風を感じている一方で、成長の幅については控えめに見積もったのも事実だ。ユーザーやスタートアップ企業、場合によっては従来の競合ベンダーとも互いの強みを補完的に融合し合う共創、オープンイノベーションの取り組みがITの新しい市場創出に貢献することはもはや疑いようがないが、成果を出すまでの道のりが険しいテーマであることも確か。ITベンダー自身が、スピード感をもちつつ、リスクを取ってチャレンジできるかが、市場の拡大スピードを左右するといえそうだ。
Q2 2018年、自社の成長の見通しは?
市場を上回る成長を目指すベンダー多数
市場全体が伸びているのならば、自社はそれ以上のペースで成長させたいと考えるのは、経営者として当然だろう。市場全体の成長率は“微増”とみる向きが大勢を占めたものの、自社の業績予測について聞いた結果は、そうした意識が反映されたものになったといえよう。
自社業績がマイナス成長になると答えたのは、市場全体の成長もマイナスになると予測した1社のベンダーのみ。ほとんどの回答者は、18年、自社が成長できると答えた。成長率については、「0~4%」と回答したベンダーが40%、「5~9%」が36%、「10%以上」が23%となった。二桁成長を現実的な目標と捉えているベンダーが2割を超えていることは注目に値する。
今回取材したベンダーは、すでにある程度強固な顧客基盤を有している有力ベンダーばかりということもあってか、「一過性の大きな成長を目指すというより、安定的かつ継続的な成長を目指したい」という声もあった。そうしたベンダーですら、二桁成長、もしくはそれに近いレベルの成長を見込んでいる。ITベンダーが、市場環境を良好だと捉えていることがここにも表れているといえよう。
[次のページ]Q3 ユーザー企業の動向は? あらゆる産業でIT投資活発化の傾向は強まる