スマートドライブ
車のデータ解析で
先を走る
COMPANY DATA
会社名 スマートドライブ
所在地 東京都港区
設立 2013年10月
https://smartdrive.co.jp/
北川 烈
代表取締役
スマートドライブは、車にまつわるデータの収集・分析を得意とするスタートアップです。同社が開発した車載デバイスや、すでに搭載されているドライブレコーダーから車や走行ルートなどのデータ取得し、それを活用した法人向け、個人向けのクラウドサービスを提供。具体的には、走行ルートの最適化や事故リスクの推定、コストの管理など、自社で保有する車両管理を最適化する「SmartDrive Fleet」、消費者向けの車のリースサービスで、安全運転でポイントがたまる「SmartDrive Cars」、高齢者の運転見守りサービス「SmartDrive Families」をラインアップしています。
現在注力しているのが、サービスの核となるデータプラットフォームビジネスの拡大です。同社ではこれまで数万台分の車のデータを解析しており、それを活用して、保険会社とテレマティクス保険の共同開発などを行ってきました。このデータプラットフォームをSIerなどと協業して、基幹システムや勤怠管理システムと連携するなど、「インプットとアウトプットを変えるといろいろな分析ができるアルゴリズムなので、解析の軸を車両や保険にとらわれず、さまざまところに転用していきたい」と北川烈代表取締役は話します。また、連携するデバイスの数や、導入社数を拡大し、データのボリュームを増やすことにも力を入れていきます。
昨年6月には中国・深センに拠点を設立しました。深圳がテクノロジーの中心地であること、金融都市である香港と隣接している地の利を生かして海外展開に向けた拠点として活用していく考えです。特に東南アジアの市場の需要が多いとみており、「東南アジアは規制が少なく、日本ではなかなかできないような先進事例を実現して日本に逆輸入することもできるだろう」と北川代表取締役は期待を示します。
HiCustomer
SaaSの
売り上げ最大化を支援
COMPANY DATA
会社名 HiCustomer
所在地 東京都品川区
設立 2017年12月18日
https://hicustomer.jp/
鈴木大貴
代表取締役
「所有」から「利用」への流れが加速するIT業界は今、空前の「サブスクリプション」ブーム。継続課金のビジネスで安定的な収益が見込めることから、自社製品をクラウドサービス化する企業が増えています。ただ、注意しなければならないのは、売り切り型とは異なり、サービス解約のリスクがあること。「サブスクリプションは、お客様に選んでもらってからの売り上げの最大化が非常に大きなミッションになる。解約を減らすとともに、アップセル・クロスセルの機会をつくることができれば、会社も成長し続けることができる」と、HiCustomer(ハイカスタマー)の鈴木大貴代表取締役は指摘。サブスクリプション化が進むことで生まれた市場に商機を見出しています。
同社が展開するのは、法人向けのSaaSを提供するサブスクリプション事業者向けのカスタマーサクセス管理ツール「HiCustomer」です。顧客のサービス利用状況をモニタリングして、「ヘルススコア」と呼ぶ指標で顧客の状態を可視化。この指標を基に、販売拡大に向けての機会や退会の兆候を把握してアラートを出すことで、事業者はその顧客に対して最適なアクションをとることができます。これによって、利用顧客の退会防止や売り上げの最大化を図ることが可能です。
昨年4月にクローズドベータ版をリリースし、500社以上が事前登録を行いました。その後、12月に正式版の提供を開始、現在は新興企業を中心に「数十社が導入済み」(鈴木代表取締役)です。「サブスクリプションビジネスにおけるカスタマーサクセスという考えが注目され、市場の広がりを感じている」といい、19年12月までに100社の導入を目指す方針です。
さらに、鈴木代表取締役は「ヘルススコアで状況を可視化した後の、顧客の状況に合わせたコミュニケーションを自動化していく。また、ユーザーの利用状況が蓄積されていくが、これは誰も持っていないデータになる。これを使って、企業の経営を変えていくようなことにも取り組んでいきたい」と意欲を示しています。
BizteX
中小企業に商機を広げる
クラウド型RPA
COMPANY DATA
会社名 BizteX
所在地 東京都渋谷区
設立 2015年7月
https://www.biztex.co.jp/
嶋田光敏
代表取締役
働き方改革を背景に、企業・自治体の間でRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が急速に普及。国産RPAベンダーだけでなく、外資大手ベンダーも日本市場に参入し、激戦の様相を呈しています。そうした中で、大手に負けじとビジネスを拡大しているのがBizteX。「オンプレミス型のRPAは構築期間が長く高価で、大手向けの商品になっている。すぐに使えてリーズナブル、UIをシンプルにして業務担当者でも使いやすいクラウド型のRPAであれば、中堅・中小企業や地方企業にも使っていただけるだろう」(嶋田光敏代表取締役)という思いの下に、クラウド型のRPA製品「BizteX cobit」を開発・提供しています。
BizteX cobitの主な特徴について嶋田代表取締役は、「SaaS型で提供し、専用のサーバーやPCなどの設備投資が不要。どんなPCからでもアクセスできる。また、ログやアカウントの管理機能があり、野良ロボットの発生を防ぐことが可能。直感的に操作が可能なUIのため、システム担当者ではなく一般事務職の人でも使えるので、ロボットの作成・運用コストを低減できる」と説明します。
17年7月に提供を開始し、19年2月時点での利用企業数は528社。インターネット広告代理店や人材紹介会社が多く、年商10億~1000億円規模の大企業の導入が中心となっている一方、従業員10人程度の企業も利用するなど、幅広い規模の企業に採用されています。「お客様の中には、オンプレミス型のRPA製品を基幹システムの自動化に使い、現場の細かい業務を自動化するためのRPAとして当社のサービスを採用する“RPA二刀流”の動きが出ている。当社のRPAはウェブの自動化に向いているため、そうした特性を踏まえて適材適所で導入されている」とのこと。オンプレミス型RPA製品と市場のすみ分けが進んでいて、パートナー企業の中にも、BizteX cobitを取り扱うことでRPA商材の提案の幅を広げています。
RPA市場の拡大を見込み、「UIの磨き込みや機能開発を強化し、より広がっていくプロダクトにしていきたい」と語る嶋田代表取締役。「21年頃にIPOを実施したい」と目標を示します。上場で認知度と信頼性を高めることで地方へのビジネス展開を加速させたい考えです。また、その先には海外展開も視野に入れています。
Holmes
契約フローの最適化で
紛争を起こさせない
COMPANY DATA
会社名 Holmes
所在地 東京都千代田区
設立 2017年3月31日
https://www.holmes-cloud.com/
笹原健太
代表取締役
「企業間における紛争の原因のほとんどは契約書にある」と語るHolmes(ホームズ)の笹原健太代表取締役。かつて弁護士として従事していた中で、「契約書が適切だったら、火種の段階で解決できたのではないか」と、思ってきたそうです。とはいえ、企業が取り交わす契約書の数は、規模の大きい企業ほど膨大。一つの契約書の中にもさまざまな契約が含まれるため、人が管理するのは限界があります。この問題をITで解決しようと、同社が開発・提供しているのが「Holmes」です。
Holmesは、書類の作成から承認、締結、管理に至るまでの一連のフローを支援するクラウドサービス。複数の部署にまたがって行われるやり取りも、Holmes上でのタスク管理やコミュニケーションで効率化することができます。また、契約書に関連する情報や書類もまとめて管理することが可能。「紛争は契約から数年経ってから起こることが多いが、そうすると契約書はあっても関連書類が見つからないと、探すのにコストがかかってしまう。Holmesでは全ての情報が集約されていて、検索するだけですぐに見つけ出すことができる」(笹原代表取締役)。
税別の最低料金は、月額3万1080円(1アカウント5180円、6アカウントまで)。17年8月にリリースし、直接販売をメインに、現在までに200社が導入。契約数が多くなる傾向のある大企業からの導入・引き合いが多いといいます。
また、今年3月1日には、多店舗展開する企業向けのソリューションとして、「Holmes for 店舗」の提供をスタート。多数の従業員を抱える外食や小売り、宿泊業などの企業における雇用契約業務の効率化を図ることができます。これを第1弾として「今後も業界ごとに特化したものを提供していきたい」と笹原代表取締役は話します。
「契約は、企業の事業活動に密接にかかわっている。ビジョンを実現していくには、最適な契約システムが必要。全ての企業の契約を最適化するために、Holmesを磨き上げていきたい」とアピールします。
よろしくスタートアップ
日本は第4次ベンチャーブーム。近年続くベンチャー投資の波は、スタートアップの活動を後押ししています。「イッポまえだのよろしくスタートアップ」連載は、昨年1月29日号での掲載を最後に、約1年の間お休み状態でした。しかしその間には、18年6月にユニコーン企業として注目されていた、13年設立のメルカリが東証マザーズに上場。大きな話題となりました。また、同じく6月には、経済産業省がスタートアップの育成支援プログラムの「J-Startup」を立ち上げるなど、政府も世界で戦えるスタートアップの支援に本腰を入れています。この機運に乗って、たくさんのスタートアップ企業が世界を目指して事業を展開しています。
今回取材したスタートアップも、海外進出を視野に入れている、あるいはすでに海外展開を行っている企業ばかり。独自のアイデアで生み出した技術やソリューションを武器に、日本市場で実績を上げ、世界へ羽ばたこうとしています。スタートアップは独自のソリューションでイッポ前へ!