新型コロナ禍はパブリッククラウドのニーズを従来以上に急拡大させた。サーバーをはじめとするハードウェアベンダーのビジネスに逆風となり得る市場環境だが、これに立ち向かううえで鍵となるのが、クラウドとオンプレミスをシームレスに使えるハイブリッドクラウド環境の実現だろう。大手サーバーベンダーはITインフラの今後をどのようにとらえ、どんな生き残り策を描くのか。各社の戦略を2号にわたって追う。
(取材・文/谷川耕一  編集/本多和幸・日高 彰)

 時間や場所に縛られないニューノーマルな働き方が求められており、それに対応するために企業はよりいっそうパブリッククラウドの利用を加速している。対して、オンプレミスのハードウェアビジネスの環境は厳しさを増している。IDC Japanが今年3月に発表した調査結果によれば、2020年の国内サーバー市場は金額ベースで前年比4.1%減、台数ベースで前年比13.5%減となっており、特に台数はダウントレンドが続いている。

 このような市場の変化は、ハードウェアベンダーにビジネスの変革を迫っている。今後はサーバーなどの機器を販売するだけのビジネスから急ぎ脱皮し、新たに目指すこととなるのが、パブリッククラウドとオンプレミスにまたがった環境を境目なく利用できる、ハイブリッドクラウド環境の提供だろう。

 ハイブリッドクラウドはクラウドとオンプレミスのいいところ取りで、理想的なITインフラ運用形態にも見える。現状でも、オンプレミスに加えてパブリッククラウドを利用しているという企業は多い。しかし、ハイブリッドクラウドという一つの柔軟なITインフラ環境を構築し、それを十分に活用しメリットを享受できている企業は少ない。オンプレミスとクラウドをシームレスに連携させ、ITリソースを柔軟に活用できるようにするのは容易ではないのだ。そのための方法としてコンテナ技術も注目されているが、ハイブリッドクラウドの本番環境でこれを使いこなしている例はさらに少ない。

 一方、最近になってパブリッククラウドベンダーがハイブリッドクラウド戦略を打ち出し始めた。クラウドサービスの一部を切り出し、それを顧客のオンプレミスでも動かせるようにするものだ。パブリッククラウドベンダーにとっての中心は、自社クラウドサービスであり、ハイブリッドはそれを補完するものとして位置づけられている。