デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の機運がこれまでになく高まっている。しかし、多くの企業は「DX人材不足」のためにDXが遅々として進まないと嘆きの声を上げる。富士通グループでDX事業をけん引するリッジラインズ(Ridgelinez)は、フリーランスを含むさまざまなバックグラウンドを持った人々に門戸を開き、顧客企業が求めるスキルを持つDX人材を発掘しようとしている。外部人材の登用を苦手とする企業と、“とがった”人材をどのようにして結びつけるのだろうか。
(取材・文/谷川耕一  編集/日高 彰)

社外に頼らざるを得ない日本企業のDX

 多くの企業がDXに取り組み始めている。経営層の理解も進み、中期経営計画にDX推進を盛り込んだり、DX推進組織を立ち上げたりするケースが増えている。一方、DXを進める上で課題となるのがDX人材の確保だ。総務省が今年7月に出した「令和3年版 情報通信白書」でも、DXの現状と課題として、日本のIT人材はIT企業に偏在し人材不足が大きな問題だと指摘している。また、同じ白書の調査結果では、5割を超える企業で人材不足がDXを進める上での課題として挙げられている。DX人材確保は、企業にとって喫緊の課題なのだ。

 DX人材を確保するためには、外部から採用するか、社内人材を教育し育成することが必要となる。労働人口が減少する日本で5割以上の企業が不足を訴える現状では、優秀な人材の採用は容易ではない。また育成するにしても、どこから手を付けていいかが分からないという企業は多い。教育に時間がかかれば育成前に「2025年の崖」に落ちてしまうかもしれない。

 また日本の多くの企業は長らく、IT人材をSI企業など外部のベンダーに頼ってきた。DXを進めるのに必要な俊敏性を得るにはシステムの内製化が必要と指摘されるが、従来の方針を転換して内部にIT人材を確保し、あらゆる情報システムの内製化を目指す変革はあまり現実的ではない。DX人材もDXに必要なIT人材も、ある程度は採用や育成で内部に確保する必要があるだろう。しかし足りない分は、適材適所で外部に頼るしかない。DXコンサルティングサービスを提供するリッジラインズでInnovation and Business Creation Practice Leaderを務める佐藤浩之・プリンシパルは「多くの企業は、社外にいる個人の能力の活用に向かわざるを得ないだろう」と話す。
 
リッジラインズ 佐藤浩之 プリンシパル

 リッジラインズは、富士通グループのDXビジネス専門コンサルティング会社として2020年4月に設立された。顧客に寄り添い顧客と一緒にDXのための仕組みの実装までサポートするとしている。佐藤プリンシパルが率いるInnovation and Business Creationチームは、コンサルティングによる提言で終わるのではなく、実際にテクノロジーを持ち、プラットフォーム化して新しい変革のプロジェクトを実践するところまで携わる。また、DXコンサルティングサービスでは、顧客企業におけるDXチームの構築や人材育成の提案もする。

 スタートアップ企業では、高度な技術や知識を持つデータサイエンティストや、DXプロジェクトをリードできる優秀なプロジェクトマネージャーなどの確保が容易なケースもある。これは、面白そうな取り組みをしている企業には、“とがった”人材が口コミなどで自然と集まるからだ。一方、日本の大企業はDX人材の確保に苦労している。DX推進専門組織は立ち上げたものの、優秀な人材が確保できないとの声はリッジラインズにも数多く届いている。