――2025年までの5カ年の長期経営構想の2年目に入った。ITソリューション(ITS)事業の売り上げを直近の約2000億円から3000億円に増やす目標の進み具合はどうか。
堅実に進んでおり、22年1月に発表予定の21年12月期決算の場で、改めて25年に向けたKPI(主要経営指標)の進ちょくを公表する準備を進めている。当社は企業向けビジネスの主要セグメントを大企業向けのエンタープライズと、中堅・中小企業向けのエリアの大きく二つに分けているが、22年はとりわけエリアビジネスのテコ入れをしたい。
代表取締役社長
足立正親
――大企業はリモートワークの浸透でオフィス複合機のプリントボリュームが下がる傾向が見られたが、地方の中小企業は都市部とは事情が異なり、さほど落ちていないのではないか。
そうでもない。大企業に引っ張られるように地方の中堅・中小企業でも、小型プリンタを複合機に集約するなどの動きがある。エリアビジネスでもITSビジネスを拡大してこそ、バランスの取れた成長が期待できる。情報セキュリティやデータ保護など業種・業態を問わず需要のある領域は、関連サービスを「まかせてITシリーズ」として体系化・パッケージ化し、手離れよく販売できる体制を整備している。
また、この1月から施行された改正電子帳簿保存法(電帳法)をトリガーとして、日々発生する紙の書類やファックスを電子化して保存するビジネスをNIコンサルティングと協業して立ち上げている。
パートナー向け情報発信を強化
――改正電帳法は複合機やITSビジネスの追い風になるか。
ビジネスの大きなきっかけになる。NIコンサルティングが開発する情報共有基盤の「Collabo 360」はグループウェアやスケジュール、電帳法対応のストレージなど中堅・中小企業が必要とする機能をパッケージ化したもので、これと当社複合機を連携させることで法的要件を満たしながら業務をデジタル化し、生産性を高められる。22年は2000社のユーザー企業に導入してもらう計画だ。
――ビジネスパートナー施策はどうか。
エリア事業セグメントは、ざっくり半分をビジネスパートナー経由の売り上げが占める。ITS領域では22年も引き続き新商材を出していく予定で、パートナーが売りやすいよう積極的に情報を提供していく。21年11月までに東京・品川にある本社ビルにセミナー配信スタジオを複数整備した。ここから全国のパートナーやユーザー企業向けにオンラインで情報発信をして、関心をもってもらえるよう働きかける。こうした取り組みによってエリアビジネスの一層の活性化を狙う。