──2021年を振り返って。
新型コロナウイルスの影響で社会全体のデジタル化・クラウド化が急速に進んだ。デジタル庁の新設やガバメントクラウドが始動したことも業界にとっては大きな出来事だ。
当社ビジネスではサーバーを顧客ごとに設置するといったハードウェアビジネスから、よりクラウドネイティブな組織への変化が進んでいる。
代表取締役社長
田中邦裕
──ガバメントクラウドに、「Amazon Web Services(AWS)」と「Google Cloud Platform(GCP)」が採用された。一方で国産クラウドが採用されなかったことに否定的な意見もある。
国産ベンダーと外資ベンダーを比較するのはそこまで重要なことではない。肝心なのはガバメントクラウドによって、国のシステムにインターネットサービスをメインとする事業者が関与できるようになったことだ。
ガバメントクラウドでは、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」に登録されていることが必須となるなど厳しい基準が設けられているため、選定する段階で技術面で先行しているAWSやGCPが適していると判断されたのではないか。
──21年12月に「さくらのクラウド」がISMAPに登録された。
ISMAPは要件が厳しいため、外資ベンダーでしか取得できないという印象が強い。当社が登録されたことで、国産ベンダーも元気だということがアピールできた。政府はマルチクラウドの推進を掲げている。これからガバメントクラウドが進む中で、IaaSの一部やSaaSなどで国産ベンダーが採用されることになるはずだ。当社もその一翼を担えるような存在になりたい。
カスタマーサクセスを強化
──サステナビリティへの取り組みも重視していると聞く。
石狩データセンターの電力調達先を環境性に優れるLNG・ガス火力発電を主とした電力会社に変更した。今後も取り組みを強化し、早くカーボンネガティブを実現できるようにしたい。
──22年の抱負を。
クラウドサービスの売り上げが拡大し、サブスクリプションの企業になりつつある。新規顧客獲得も重要だが、長く利用してもらうことが大切になるためカスタマーサクセスを強化する。
従来はSIer任せだったが最近は、自立してデジタル化に取り組むユーザー企業が増えた。そのため、ITベンダーにはそれを手助けし、ユーザー企業にデジタルビジネスを創出させる「DXプラットフォーマー」としての役割が求められている。当社では「『やりたいこと』を『できる』に変える」の理念のもと、国内のインターネット黎明期からIT企業として培ってきた知見がある。その強みを生かしお客様の目指すデジタル化を支援する。