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【キーワードで読み解くDXの現在地・共通プラットフォーム】開発基盤となるクラウド型の可能性に期待

2022/11/17 09:00

週刊BCN 2022年11月14日vol.1946掲載

 システム開発は、顧客の要望に応じて個別に開発する受託開発や、エンジニアを派遣するSES(システムエンジニアリングサービス)が一般的だ。しかし、多くの企業がDXの実現を目指す中、現場を中心とした開発が増え、開発基盤となるクラウド型の共通プラットフォームに注目が集まりつつある。関連のビジネスを手掛けるSIerは、市場でのニーズの高まりを感じており、今後の可能性の広がりに期待を寄せている。
(取材・文/齋藤秀平)
 

ビジネス拡大の「入り口」に

 日立ソリューションズは、以前は米Microsoft(マイクロソフト)の業務アプリケーション群「Dynamics」(現Dynamics 365)を中心にビジネスを展開していた。しかし、当時の製品の特性上、幅広いニーズに応えるのは難しく、産業イノベーション事業部グローバル本部グローバル推進センタの江角忠士・センタ長は「Dynamicsは、対象とする業務が限定的で、お客様の要件によってはオーバースペックになってしまうことがあった」と話す。
 
日立ソリューションズ 江角忠士 センタ長

 その後、ローコードアプリケーション開発プラットフォーム「Power Platform」が登場し、早い段階で採用を決定。ウォーターフォール型のスクラッチ開発を対象に、Power Platformの導入支援サービスの提供を始めた。

 導入支援サービスは、IT部門主導で開発を進めるケースと、現場主導で開発を進めるケースの2パターンを想定。前者では、システム構築や稼働後の保守などを提供する。後者では、トレーニングやプロトタイプ開発などによってDXの推進を後押しする内容になっている。

 同社は、売上高100億円以上の製造業などを主な顧客にしている。Power Platformのビジネスでも同様の規模の顧客を主なターゲットにしていたが、最近は「日本を代表するような大手自動車メーカーから、売上高100億円を下回るような中小規模のお客様からも引き合いをいただいている」(江角センタ長)状況だ。
 
日立ソリューションズ 松野貴史 ユニットリーダ

 顧客層が拡大している背景には、システム開発についてのニーズが変化していることがある。同センタ第1グループの松野貴史・ユニットリーダは「IT部門が取り仕切ってシステム開発をするよりも、現場の業務に合わせてシステム開発がしたいという声が増えている」と説明する。

 導入支援サービスでは、引き合いは同じくらいになっているものの、売り上げはIT部門主導で開発を進めるケースのほうが大きいという。今後、Power Platformのビジネスをさらに伸ばしていくためには、現場主導で開発を進めるケースを入り口に、いかに顧客のビジネスに入り込み、IT部門主導で開発を進めるケースにつなげていくかがかぎになると江角センタ長はみる。

 さらに「ユーザー部門が自分たちだけで使うという点がスタートかもしれないが、会社全体で考えると、同じプラットフォームにデータを集めて経営に生かしたいといった要望は出てくる。そういった部分はわれわれの出番になる」とし、Power Platformの利用が広がることによって新たなニーズが生まれ、それがビジネスのさらなる拡大につながる可能性があるとの考えを示す。
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  • プラットフォーム活用でビジネスモデルを変革しているSIerも 新サービスで“脱下請け”

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