Special Feature
改めて注目されるCMS 非対面の接点増などがビジネスを後押し
2023/10/19 09:00
週刊BCN 2023年10月16日vol.1988掲載
Webサイトの構築や管理、運用を担うCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)が改めて注目されている。特に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、社員や顧客との非対面の接点が増えたことなどで、BtoB企業でも導入が増えているようだ。CMSを提供するIT企業のビジネスは堅調に推移しており、パートナーとの関係強化や新製品の投入によって、さらなるニーズの取り込みを狙っている。
(取材・文/袖山 俊夫 編集/齋藤秀平)
米アドビ日本法人
米Adobe(アドビ)は、CMSの製品として「Adobe Experience Manager」(AEM)を提供している。デジタルアセットやコンテンツ、フォームの管理などの機能を組み合わせ、あらゆるチャネルに最適な体験を届けているといい、日本法人DX GTM・ソリューションコンサルティング部の鵜瀬総一郎・執行役員は「AEMと日本の大企業には親和性がある」と胸を張る。
米アドビ日本法人 鵜瀬総一郎 執行役員
同製品の強みについて、鵜瀬執行役員は「最大の強みはグローバル規模の企業への対応がある」と話す。具体的には、国内の大企業のグローバル展開を支えるマルチサイト管理や翻訳サービスとの連携に関する機能があると紹介。さらにガバナンスとローカライズを両立させたり、ワークフローを整理したりする機能を備えていることも挙げる。
同社は、主に大企業を中心にビジネスを展開している。鵜瀬執行役員は、直近の各企業の動向について「コロナ禍で対面のビジネスが難しくなり、デジタルチャネルで何とか活路を切り開かなければならないと考える企業が増えた。為替の影響もあり、外貨で稼ごうというBtoB企業はかなりアクセルを踏み出している」とし、その結果として「AEMの導入を検討する企業は増加し、当社のビジネスは2桁台の成長を続けている」と説明する。
AEMの導入は、直販とパートナー経由の両方で進めており、割合は直販が4割、パートナー経由が6割となっている。パートナーは、広告代理店系▽SIer系▽コンサルティングファーム系▽Web制作会社系―の四つの領域があり、このうち、最も商談が多いのはコンサルティングファーム系だという。パートナー経由の導入が多くの割合を占めているだけに、鵜瀬執行役員はパートナーの存在を重要視しており、「大手から新興まで幅広く、きちんと関係をつくっていくことは継続しなければいけないと思っている。それに加えて、パートナーの新規開拓も並行していく考えだ」と言う。
ただ、パートナー戦略に課題がないわけではない。鵜瀬執行役員は、人材の確保が常に課題になっていると指摘し、「パートナーの中に、AEMやアドビについて理解している技術者がどれだけいるかは重要だ。AEMへの引き合いが多くても、リソースがなければ顧客からのオーダーに応えられず、ライセンスの販売もできなくなる。そうなると、ビジネスに影響が出てしまうので、そこには最も力を入れている」と語る。
パートナー戦略への注力に加え、同社はAEMとほかのアドビ製品との連携も加速させている。鵜瀬執行役員は「アドビのさまざまな製品とシームレスでネイティブに連携できると、ユーザーの業務の効率性は向上する。これは他社のCMSとの大きな違いになる」とアピールする。実際、「Photoshop」「Illustrator」などを含めた「Adobe Creative Cloud」や「Adobe Document Cloud」との連携を進めたことによって、AEMとして提案できる幅は大きく広がっているという。
米Sitecore
アドビと並んで市場で高い存在感を示す米Sitecore(サイトコア)のCMS「Sitecore XM Cloud」(XM Cloud)。アジア太平洋および日本地域の事業責任者を務めるジョエイ・リム氏は「『XM Cloud』は、コンテンツエクスペリエンス管理、パーソナライゼーション、アナリティクスを包括的に提供できる唯一のSaaS型エンタープライズデジタル・エクスペリエンス・プラットフォームだ」と製品の特徴を解説する。
米Sitecore ジョエイ・リム氏
リム氏は、XM Cloudについて「マーケティング担当者が全てを管理できるため、企業としてのメッセージが意図した通りに伝わる。パーソナライゼーションを有効にすることで、カスタマーエクスペリエンス(CX)をカスタマイズして大幅に向上させることができる」とし、「組み込みのアナリティクスにより、マーケティングチームはエンドユーザーの体験をさらに向上させるためのフィードバックを即座に得ることができる。エンドユーザーの体験が迅速な応答時間で高度に最適化できるため、最終的にSEOランキングと顧客の閲覧体験が向上する」と付け加える。
さらに「CMSとして20年以上の成長を遂げてきた当社は、CMSとしての伝統と、この分野におけるリーダーとしての実績がある」と強調。「SaaSベースのコンポーザブルソリューションの提供における市場初のリーダーとして、当社は、完璧なエクスペリエンスを保証するために、適切なコンテンツを配信するように設計された常時オン、常時アップデートのソフトウェアソリューションをユーザーが確実に利用できるようにするための知識を持っている」と話す。
同社は、売り上げなどの財務情報や顧客数は公表していないものの、事業の拡大に向けてパートナーとの連携に意欲的だ。リム氏は「当社は常にパートナーとの協業に前向きであり、当社と緊密な協力関係を築きたいと考えている企業との関係を楽しんでいる。特に、コンポーザブルなSaaSベースのサービスという当社のビジョンを受け入れ、市場の先進的なブランドに対して俊敏性などを提供するパートナーとの提携を熱望している」との考えを示す。
同社は、SaaS型の製品提供に力を入れており、今後も現在の方向性を継続する方針。リム氏は「CXへの要求が急速なペースで高まり続けるこの時代において、顧客に比類なき柔軟性を提供するSaaSへのシフトに強く焦点を当てていく」と意気込む。アシスト
アシストは、早くからCMSの可能性に着目し、2002年に製品の販売を始めた。取り扱っているのは韓国I-ON COMMUNICATIONS(アイオンコミュニケーションズ)が開発している「NOREN」で、日本の総代理店として国内企業に提供している。
アシスト 八木康介 主査
DX推進技術本部事業推進統括部ナレッジ・プラットフォーム技術部の八木康介・主査は「NORENの特徴は静的CMSであることだ。事前にHTMLをつくり、Webサーバーに対して配信をしておくという考え方になっている。また、安心・安全に使えるセキュリティ性能の高さも特徴と言える。加えて、大企業向けではアクセス権の管理や承認フローが柔軟に設定できる点も強みだ」と語る。
NORENは、製品の進化に精力的に取り組んでいる。近年では、APIの拡充やほかの製品との連携を図るだけでなく、デジタルマーケティングとセールスの連携を深めるソリューション「NOREN musubi」をリリースしている。
それらが高く評価され、「NOREN」は今や国内トップクラスとなる810社以上の企業に導入されている。しかも、継続率は96%超、サポート満足度は99%超と顧客の満足度は高く、業績は順調に推移。最近は、操作の難易度が高い動的CMSからの入れ替えの案件が出ているという。
特に、コロナ禍でビジネスは一段と加速したようだ。八木主査は「問い合わせは1.5倍に増えた。その要因はいくつかあり、まず、人と人との関わりが希薄になり、情報取得先としてWebサイトの重要性が高まったことが挙げられる。もう一つは、リモートワークの浸透で社内の情報共有、ナレッジ共有基盤としての利用が増えたことがある」と分析する。
現在、企業からWebサイトの構築などに関する問い合わせがアシストに寄せられた後、パートナーに案件を紹介したり、パートナー経由の相談に対応したりしてビジネスを進めている。パートナーは100社超となっており、八木主査は「パートナーがいなければNORENのビジネスは成り立たない」と主張する。
パートナーとは、技術情報の提供や年1回の会合の開催などを通じて関係性を強化している。とはいえ、パートナーは、NOREN以外の製品を取り扱えることを強みにしているケースがあり、今後の戦略としては「今のパートナーの中で、NOREN寄りのパートナーを増やしてくことを大事にする」(八木主査)としている。引き続きパートナーに成功体験を積んでもらい、技術やノウハウの習得をさらに促していく考えだ。
NORENは、24年に新バージョンの提供が予定されている。八木主査は「新しいバージョンのNOREN7では、パートナーが開発した機能をお客様が利用できるような拡張が入る予定だ。これまで通り、年商300億円以上のユーザーをメインターゲットとして、パートナーとともに今後も成長を目指していく」と力を込める。
(取材・文/袖山 俊夫 編集/齋藤秀平)

米アドビ日本法人
日本の大企業との親和性が強み
米Adobe(アドビ)は、CMSの製品として「Adobe Experience Manager」(AEM)を提供している。デジタルアセットやコンテンツ、フォームの管理などの機能を組み合わせ、あらゆるチャネルに最適な体験を届けているといい、日本法人DX GTM・ソリューションコンサルティング部の鵜瀬総一郎・執行役員は「AEMと日本の大企業には親和性がある」と胸を張る。
同製品の強みについて、鵜瀬執行役員は「最大の強みはグローバル規模の企業への対応がある」と話す。具体的には、国内の大企業のグローバル展開を支えるマルチサイト管理や翻訳サービスとの連携に関する機能があると紹介。さらにガバナンスとローカライズを両立させたり、ワークフローを整理したりする機能を備えていることも挙げる。
同社は、主に大企業を中心にビジネスを展開している。鵜瀬執行役員は、直近の各企業の動向について「コロナ禍で対面のビジネスが難しくなり、デジタルチャネルで何とか活路を切り開かなければならないと考える企業が増えた。為替の影響もあり、外貨で稼ごうというBtoB企業はかなりアクセルを踏み出している」とし、その結果として「AEMの導入を検討する企業は増加し、当社のビジネスは2桁台の成長を続けている」と説明する。
AEMの導入は、直販とパートナー経由の両方で進めており、割合は直販が4割、パートナー経由が6割となっている。パートナーは、広告代理店系▽SIer系▽コンサルティングファーム系▽Web制作会社系―の四つの領域があり、このうち、最も商談が多いのはコンサルティングファーム系だという。パートナー経由の導入が多くの割合を占めているだけに、鵜瀬執行役員はパートナーの存在を重要視しており、「大手から新興まで幅広く、きちんと関係をつくっていくことは継続しなければいけないと思っている。それに加えて、パートナーの新規開拓も並行していく考えだ」と言う。
ただ、パートナー戦略に課題がないわけではない。鵜瀬執行役員は、人材の確保が常に課題になっていると指摘し、「パートナーの中に、AEMやアドビについて理解している技術者がどれだけいるかは重要だ。AEMへの引き合いが多くても、リソースがなければ顧客からのオーダーに応えられず、ライセンスの販売もできなくなる。そうなると、ビジネスに影響が出てしまうので、そこには最も力を入れている」と語る。
パートナー戦略への注力に加え、同社はAEMとほかのアドビ製品との連携も加速させている。鵜瀬執行役員は「アドビのさまざまな製品とシームレスでネイティブに連携できると、ユーザーの業務の効率性は向上する。これは他社のCMSとの大きな違いになる」とアピールする。実際、「Photoshop」「Illustrator」などを含めた「Adobe Creative Cloud」や「Adobe Document Cloud」との連携を進めたことによって、AEMとして提案できる幅は大きく広がっているという。
米Sitecore
SaaSへのシフトに強く焦点
アドビと並んで市場で高い存在感を示す米Sitecore(サイトコア)のCMS「Sitecore XM Cloud」(XM Cloud)。アジア太平洋および日本地域の事業責任者を務めるジョエイ・リム氏は「『XM Cloud』は、コンテンツエクスペリエンス管理、パーソナライゼーション、アナリティクスを包括的に提供できる唯一のSaaS型エンタープライズデジタル・エクスペリエンス・プラットフォームだ」と製品の特徴を解説する。
リム氏は、XM Cloudについて「マーケティング担当者が全てを管理できるため、企業としてのメッセージが意図した通りに伝わる。パーソナライゼーションを有効にすることで、カスタマーエクスペリエンス(CX)をカスタマイズして大幅に向上させることができる」とし、「組み込みのアナリティクスにより、マーケティングチームはエンドユーザーの体験をさらに向上させるためのフィードバックを即座に得ることができる。エンドユーザーの体験が迅速な応答時間で高度に最適化できるため、最終的にSEOランキングと顧客の閲覧体験が向上する」と付け加える。
さらに「CMSとして20年以上の成長を遂げてきた当社は、CMSとしての伝統と、この分野におけるリーダーとしての実績がある」と強調。「SaaSベースのコンポーザブルソリューションの提供における市場初のリーダーとして、当社は、完璧なエクスペリエンスを保証するために、適切なコンテンツを配信するように設計された常時オン、常時アップデートのソフトウェアソリューションをユーザーが確実に利用できるようにするための知識を持っている」と話す。
同社は、売り上げなどの財務情報や顧客数は公表していないものの、事業の拡大に向けてパートナーとの連携に意欲的だ。リム氏は「当社は常にパートナーとの協業に前向きであり、当社と緊密な協力関係を築きたいと考えている企業との関係を楽しんでいる。特に、コンポーザブルなSaaSベースのサービスという当社のビジョンを受け入れ、市場の先進的なブランドに対して俊敏性などを提供するパートナーとの提携を熱望している」との考えを示す。
同社は、SaaS型の製品提供に力を入れており、今後も現在の方向性を継続する方針。リム氏は「CXへの要求が急速なペースで高まり続けるこの時代において、顧客に比類なき柔軟性を提供するSaaSへのシフトに強く焦点を当てていく」と意気込む。
アシスト
「静的」を特徴に導入を拡大
アシストは、早くからCMSの可能性に着目し、2002年に製品の販売を始めた。取り扱っているのは韓国I-ON COMMUNICATIONS(アイオンコミュニケーションズ)が開発している「NOREN」で、日本の総代理店として国内企業に提供している。
DX推進技術本部事業推進統括部ナレッジ・プラットフォーム技術部の八木康介・主査は「NORENの特徴は静的CMSであることだ。事前にHTMLをつくり、Webサーバーに対して配信をしておくという考え方になっている。また、安心・安全に使えるセキュリティ性能の高さも特徴と言える。加えて、大企業向けではアクセス権の管理や承認フローが柔軟に設定できる点も強みだ」と語る。
NORENは、製品の進化に精力的に取り組んでいる。近年では、APIの拡充やほかの製品との連携を図るだけでなく、デジタルマーケティングとセールスの連携を深めるソリューション「NOREN musubi」をリリースしている。
それらが高く評価され、「NOREN」は今や国内トップクラスとなる810社以上の企業に導入されている。しかも、継続率は96%超、サポート満足度は99%超と顧客の満足度は高く、業績は順調に推移。最近は、操作の難易度が高い動的CMSからの入れ替えの案件が出ているという。
特に、コロナ禍でビジネスは一段と加速したようだ。八木主査は「問い合わせは1.5倍に増えた。その要因はいくつかあり、まず、人と人との関わりが希薄になり、情報取得先としてWebサイトの重要性が高まったことが挙げられる。もう一つは、リモートワークの浸透で社内の情報共有、ナレッジ共有基盤としての利用が増えたことがある」と分析する。
現在、企業からWebサイトの構築などに関する問い合わせがアシストに寄せられた後、パートナーに案件を紹介したり、パートナー経由の相談に対応したりしてビジネスを進めている。パートナーは100社超となっており、八木主査は「パートナーがいなければNORENのビジネスは成り立たない」と主張する。
パートナーとは、技術情報の提供や年1回の会合の開催などを通じて関係性を強化している。とはいえ、パートナーは、NOREN以外の製品を取り扱えることを強みにしているケースがあり、今後の戦略としては「今のパートナーの中で、NOREN寄りのパートナーを増やしてくことを大事にする」(八木主査)としている。引き続きパートナーに成功体験を積んでもらい、技術やノウハウの習得をさらに促していく考えだ。
NORENは、24年に新バージョンの提供が予定されている。八木主査は「新しいバージョンのNOREN7では、パートナーが開発した機能をお客様が利用できるような拡張が入る予定だ。これまで通り、年商300億円以上のユーザーをメインターゲットとして、パートナーとともに今後も成長を目指していく」と力を込める。
Webサイトの構築や管理、運用を担うCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)が改めて注目されている。特に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、社員や顧客との非対面の接点が増えたことなどで、BtoB企業でも導入が増えているようだ。CMSを提供するIT企業のビジネスは堅調に推移しており、パートナーとの関係強化や新製品の投入によって、さらなるニーズの取り込みを狙っている。
(取材・文/袖山 俊夫 編集/齋藤秀平)
米アドビ日本法人
米Adobe(アドビ)は、CMSの製品として「Adobe Experience Manager」(AEM)を提供している。デジタルアセットやコンテンツ、フォームの管理などの機能を組み合わせ、あらゆるチャネルに最適な体験を届けているといい、日本法人DX GTM・ソリューションコンサルティング部の鵜瀬総一郎・執行役員は「AEMと日本の大企業には親和性がある」と胸を張る。
米アドビ日本法人 鵜瀬総一郎 執行役員
同製品の強みについて、鵜瀬執行役員は「最大の強みはグローバル規模の企業への対応がある」と話す。具体的には、国内の大企業のグローバル展開を支えるマルチサイト管理や翻訳サービスとの連携に関する機能があると紹介。さらにガバナンスとローカライズを両立させたり、ワークフローを整理したりする機能を備えていることも挙げる。
同社は、主に大企業を中心にビジネスを展開している。鵜瀬執行役員は、直近の各企業の動向について「コロナ禍で対面のビジネスが難しくなり、デジタルチャネルで何とか活路を切り開かなければならないと考える企業が増えた。為替の影響もあり、外貨で稼ごうというBtoB企業はかなりアクセルを踏み出している」とし、その結果として「AEMの導入を検討する企業は増加し、当社のビジネスは2桁台の成長を続けている」と説明する。
AEMの導入は、直販とパートナー経由の両方で進めており、割合は直販が4割、パートナー経由が6割となっている。パートナーは、広告代理店系▽SIer系▽コンサルティングファーム系▽Web制作会社系―の四つの領域があり、このうち、最も商談が多いのはコンサルティングファーム系だという。パートナー経由の導入が多くの割合を占めているだけに、鵜瀬執行役員はパートナーの存在を重要視しており、「大手から新興まで幅広く、きちんと関係をつくっていくことは継続しなければいけないと思っている。それに加えて、パートナーの新規開拓も並行していく考えだ」と言う。
ただ、パートナー戦略に課題がないわけではない。鵜瀬執行役員は、人材の確保が常に課題になっていると指摘し、「パートナーの中に、AEMやアドビについて理解している技術者がどれだけいるかは重要だ。AEMへの引き合いが多くても、リソースがなければ顧客からのオーダーに応えられず、ライセンスの販売もできなくなる。そうなると、ビジネスに影響が出てしまうので、そこには最も力を入れている」と語る。
パートナー戦略への注力に加え、同社はAEMとほかのアドビ製品との連携も加速させている。鵜瀬執行役員は「アドビのさまざまな製品とシームレスでネイティブに連携できると、ユーザーの業務の効率性は向上する。これは他社のCMSとの大きな違いになる」とアピールする。実際、「Photoshop」「Illustrator」などを含めた「Adobe Creative Cloud」や「Adobe Document Cloud」との連携を進めたことによって、AEMとして提案できる幅は大きく広がっているという。
(取材・文/袖山 俊夫 編集/齋藤秀平)

米アドビ日本法人
日本の大企業との親和性が強み
米Adobe(アドビ)は、CMSの製品として「Adobe Experience Manager」(AEM)を提供している。デジタルアセットやコンテンツ、フォームの管理などの機能を組み合わせ、あらゆるチャネルに最適な体験を届けているといい、日本法人DX GTM・ソリューションコンサルティング部の鵜瀬総一郎・執行役員は「AEMと日本の大企業には親和性がある」と胸を張る。
同製品の強みについて、鵜瀬執行役員は「最大の強みはグローバル規模の企業への対応がある」と話す。具体的には、国内の大企業のグローバル展開を支えるマルチサイト管理や翻訳サービスとの連携に関する機能があると紹介。さらにガバナンスとローカライズを両立させたり、ワークフローを整理したりする機能を備えていることも挙げる。
同社は、主に大企業を中心にビジネスを展開している。鵜瀬執行役員は、直近の各企業の動向について「コロナ禍で対面のビジネスが難しくなり、デジタルチャネルで何とか活路を切り開かなければならないと考える企業が増えた。為替の影響もあり、外貨で稼ごうというBtoB企業はかなりアクセルを踏み出している」とし、その結果として「AEMの導入を検討する企業は増加し、当社のビジネスは2桁台の成長を続けている」と説明する。
AEMの導入は、直販とパートナー経由の両方で進めており、割合は直販が4割、パートナー経由が6割となっている。パートナーは、広告代理店系▽SIer系▽コンサルティングファーム系▽Web制作会社系―の四つの領域があり、このうち、最も商談が多いのはコンサルティングファーム系だという。パートナー経由の導入が多くの割合を占めているだけに、鵜瀬執行役員はパートナーの存在を重要視しており、「大手から新興まで幅広く、きちんと関係をつくっていくことは継続しなければいけないと思っている。それに加えて、パートナーの新規開拓も並行していく考えだ」と言う。
ただ、パートナー戦略に課題がないわけではない。鵜瀬執行役員は、人材の確保が常に課題になっていると指摘し、「パートナーの中に、AEMやアドビについて理解している技術者がどれだけいるかは重要だ。AEMへの引き合いが多くても、リソースがなければ顧客からのオーダーに応えられず、ライセンスの販売もできなくなる。そうなると、ビジネスに影響が出てしまうので、そこには最も力を入れている」と語る。
パートナー戦略への注力に加え、同社はAEMとほかのアドビ製品との連携も加速させている。鵜瀬執行役員は「アドビのさまざまな製品とシームレスでネイティブに連携できると、ユーザーの業務の効率性は向上する。これは他社のCMSとの大きな違いになる」とアピールする。実際、「Photoshop」「Illustrator」などを含めた「Adobe Creative Cloud」や「Adobe Document Cloud」との連携を進めたことによって、AEMとして提案できる幅は大きく広がっているという。
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- 米Sitecore SaaSへのシフトに強く焦点
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