――2023年はどのような年だったか。
いろいろなものが上向きはじめた年だった。特に好調だったのは、やはりクラウド事業だ。社会的にクラウド需要が伸びる中、「さくらのクラウド」も非常に順調に成長している。物価高の影響があったものの、企業としての付加価値を高めることができた。
代表取締役社長 田中邦裕
――付加価値を高めるために、具体的にどのような策を講じたのか。
新たなサービスである「GPUクラウド」への投資だ。23年は政府からの強力な支援もあり、GPUへの投資をしやすい環境をつくることができた。また、GPUだけで提供している企業があまりない中で、GPUそのものを提供できるということは、顧客に必要とされる強みになるのではないかと考えている。
――23年3月に国立高等専門学校機構(高専機構)との包括連携協定を結んだ。
当社の社員が講師として高専に出向くなど、教育や人材育成に関してのお手伝いをしている。今後は、高専生がGPUクラウドを使えるようにするなど、さまざまなかたちで連携することができるだろう。
クラウドベンダーとしての認知が得られた
――23年11月に、さくらのクラウドがガバメントクラウドに認定された。
当社は、GPUクラウド以外にも、ガバメントクラウドへの登録という二つの大きなテーマで23年の事業を進めてきた。おかげさまでガバメントクラウドに認定されたので、当然しっかりとやっていきたい。一方、パブリッククラウドとしても成長していかなければならないと感じている。米大手のクラウドベンダーが強い状況にある中で、当社も今までの活動を通して一定の認知を得ることができた。そういう意味では、ガバメントとエンタープライズのどちらの領域でも、しっかりとサービスを提供できる体制がいよいよ整った。
――課題はあるか。
社内体制の面でいえば、最近は従業員が毎年100人単位で増えているし、24年も200~300人の新規採用を見込んでおり、採用活動自体は順調に行うことができている。しかし、まだまだ人員が圧倒的に足りていない。いかに採用していけるかが今後の課題になる。
――24年の抱負は。
久しぶりに成長の時がきたと感じている。20年から設備投資は縮小傾向にあったが、23年からは復活している上、24年の投資計画は大幅に増やしている。1月から提供を開始する予定のGPUクラウドに関しても、かなり大きな投資をすることになるので、飛躍する年にしたい。