――2023年はどんな年だったか。
いい年だった。われわれの製品は元々、小規模法人と個人事業主の間で使われていたが、特に中堅企業を含め、今まで以上に規模が大きめのお客様からの引き合いがかなり伸びた。社内体制に関しては、現在のオフィスに移転してからは、基本的に出社ベースとしており、最近は出社頻度を増やす取り組みを進めている。その結果、よりスピード感を持って事業に取り組めるようになった。人材も多く採用できたので、順調に組織体制の拡充を図ることができたと感じている。
CEO and Co-founder 佐々木大輔
導入の入り口をしっかり用意できた
――好調の理由は。
企業がインボイス制度などの制度対応を行う中で、統合型の業務ソフトというコンセプトはいいが、一気に全部を導入するのは大変と評価されることがあった。そのため、23年は例えば「財務会計部分は今までと変えず、それ以外の部分をfreeeの製品にする」「給与計算の部分は変えず、勤怠管理だけ導入する」など、小さく始めるための施策をいろいろとつくってきた。さまざまな業務をわれわれのプラットフォームでつなげることで大きな価値が提供できると考えているが、その一方で、入り口をしっかり用意することも大切だ。ここに取り組めたことが、一つの大きな要因だと思う。現在、プロダクトをまず一部だけ導入するお客様も、全面的に導入するお客様も出てきており、広がりが生まれている。そういう意味ではこれからが楽しみだ。
――23年はグループ拡大の動きも盛んだった。
これは先ほど触れた入り口をつくることにも大きく関連している。例えば、23年始めにグループジョインしたsweeepは、請求書を処理するシンプルでわかりやすいプロダクトを持っている。このプロダクトは、インボイス対応などに関連して、業務を部分的に変えたいとのニーズを多くいただいた。こういったプロダクトがプラットフォームに乗ることで、(プラットフォームを)利用してもらうスピードを上げていくことができる。
――24年のビジネス戦略は。
これから具体化させていくことになるが、先ほど指摘した通り、プラットフォームに価値を持たせていくとの意味では、引き続きどのようにして統合体験を実現させるかが重要になる。いろいろなモジュールを組み合わせて使った際の価値を、さらに進化させていかなければならない。そういった意味では、経理と人事の領域がつながっていることに大きな意味があると考えている。また、プロダクトの領域が一気に広がっているので、企画、開発からセールス、マーケティングまでのスピードを上げたい。