freeeは11月1日、企業の支出管理業務に関わる新プロダクトの「freee支払」を発表した。支出管理業務の効率化を目指し、証憑回収から電子化、会計仕訳、支払いまでのワークフローを自社プロダクトで対応できるようにした。会計仕訳後の支払業務を効率化するfreee支払の提供は、11月15日から開始する。
同社はこれまで、法人向けクレジットカード「freeeカードUnlimited」を支払いの手段として提供していた。今回、銀行振り込みに対応する機能「freee支払|振込」と、freeeカードUnlimitedでの支払い向けの機能「freee支払|カード」機能をあわせてfreee支払として発表し、支払いの選択肢を拡充した。
花井一寛 常務執行役員
支払い業務には、振り込み依頼の抜け漏れや不正な資金流出を防ぐための支払い明細のチェック作業に時間がかかるとの課題がある。
freee支払|振込では、請求書の受け取りから振り込みまでを自社製品で完結できる「freee会計連携同期機能」のほか、過去の取引をもとに疑わしい振り込みをAIで検知する機能を備えているのが特徴で、振込作業の間違いや作業時間の短縮ができるとした。振込手数料については、一律220円となっている。
また、freee支払|カードの機能として、クレジットカード利用後に集めなければいけない領収書を、チャットやスマートフォンを通じて従業員に提出を求めることができる証憑回収機能を10月5日から提供している。freeeカードUnlimitedを利用した際、「Slack」などの社内のチャットにクレジットカードの利用があった旨が通知される。通知から領収書を提出する画面へと移動でき、証憑をアップロードすることが可能だ。
証憑回収機能の追加の背景には、インボイス制度への対応がある。これまではクレジットカードの利用明細を電子保存すれば要件を満たせていたが、10月からは領収書や請求書がないと仕入税額控除ができなくなった。そのため、カード明細1件ごとに証憑をひもづけて保存しなければならないが、従業員からクレジットカードを利用した際の領収書を集めるのに手間がかかるとの課題があるという。
常務執行役員の花井一寛・支出管理プロダクトCEOは「クレジットカードを使った後に社内のチャットツールなどで、領収書を提出してください、と催促するやり取りが多くの企業で発生している」と指摘。この課題を解決できるのが証憑回収機能だと説明した。
このほか、11月30日からはfreeeカードUnlimitedのバーチャルカード機能が提供される。
(大向琴音)