──2024年に取り組んだことは。
当社は(1)社会インフラであるITシステム安定稼働の実現(2)AIやクラウドなどのテクノロジーを活用したDXをお客様とともに推進(3)CO2やプラスチック削減などのサステナビリティー・ソリューションの共創(4)半導体、量子、AIなどの先端テクノロジーの研究開発(5)IT/AI人材の育成と活躍の場―の五つを価値共創領域としている。24年は、この価値共創領域を支える要素として、ハイブリッドクラウドをはじめとしたインフラのデザイン設計、自動化ソリューションの提供、AIの活用などを通じて、お客様の業務変革を支援するモデルが出来上がり、機能するようになった。半導体や量子コンピューターにおいても、5年、10年先を見据えた研究開発が進み、自分たちの立ち位置がだいぶ明確になったと考えている。
山口明夫
代表取締役社長 キャプション
──24年1月にオフィスを移転した。
組織の枠を越えた共創が進むなど、風通しが良くなったと感じている。社内でいろいろなサーベイを実施しており、その結果も良好だ。まだ改善すべき部分もあるため、今後もしっかりと取り組んでいく。
生成AIによる変革を推進
──顧客のAIの活用は進んでいるのか。
AIプラットフォーム「watsonx」、AIモデル「Granite」などを提供しているが、お客様がこれらの製品を理解して、業務開発を進めるケースが増えてきている。
──25年に注力したい点は。
昨年の延長線上になるが、「AI for IT」として、システム開発や運用、障害対応、要件定義、コーディングといったさまざまな場面において、エンドツーエンドで生成AIが対応できるように強化を図る。人事、経理、販売業務などでも、AIエージェントを組み込んだ高機能化や自動化といったことが実現する年になる。そのためには、一般的な大規模言語モデル(LLM)ではなく、個別の小規模言語モデルや特化型のLLMをつくり上げていくことが重要になるので注力したい。
──今後の抱負を。
AIをはじめテクノロジーが進化する一方で、複雑化している面がある。テクノロジーはお客様に使っていただかないと意味がないし、使ってもらうには理解してもらわなければならない。そのためには、難しい言葉でメッセージを発信するのではなく、お客様の観点に立って分かりやすい言葉で説明できるようになるのが重要だ。加えて、テクノロジーはオープンでなければならない。社員がお客様、パートナーとこれまで以上に踏み込んで会話し、それぞれの強みを生かして、いいものをつくることでイノベーションを起こせるはずだ。