日本IBMは11月28日、記者会見を開き、同月14日から提供を開始したデータベース製品の最新バージョン「Db2 12.1」と、AIを活用してデータベース管理者をサポートする「Database Assistant」について説明した。企業におけるデータの管理・活用を強力に支援する姿勢だ。
Db2 12.1は、5年ぶりのメジャーアップデートとなる。代表的な強化点は、コストベースのオプティマイザーへのAIの組み込みだ。これによってデータのばらつき、分布などのカーディナリティー推定の誤差を抑え、チューニングの簡素化やパフォーマンスの向上、安定稼働を実現する。リリース前の社内テストでは、従来に比べて実行時間が約3倍高速化したという。
新たなライセンス体系の「Starter Edition」をDb2 12.1から追加する。より低コストでDb2の利用が可能となる。
Db2 12.1の開発の際、開発チーム内ではAIコード生成ツール「watosonx Code Assistant」を活用した。これによりコード開発やドキュメント作成などにおいて生産性を向上させ、200以上の新機能や機能強化が実現したという。watosonx Code Assistantは11月から顧客向けの一般提供も開始している。
Db2の運用をAIで支援するのがDatabase Assistantだ。▽ドキュメントから情報が見つけづらい▽Db2技術者を育てるのが大変▽障害対応時の原因究明やパフォーマンス・シューティングに苦労する―などの悩みを解決する製品とした。Db2に関する質問に対してAIが回答してくれるほか、Db2の運用監視項目を簡単に取得し、確認できる。そのほか、トラブルシューティングのシンプル化や、性能問題の根本原因やボトルネックの特定の加速化を実現するなどの特徴があるという。
具体的には、Db2の管理コンソール画面に立ち上がるチャットウィンドウに話し言葉で質問を入力すると、AIがマニュアルやナレッジベース、稼働中のDb2の情報を基に回答を生成する。まずは、北米データセンターからマネージドサービスとして提供しているDb2から利用開始できる。ソフトウェア版のDb2を利用している顧客に対しては、2025年後半に提供予定とした。
四元菜つみ 製品統括部長
テクノロジー事業本部Data&AI事業部の四元菜つみ・製品統括部長は「よりセキュアで、より実績のある企業向けのAIデータベースとしてDb2をご利用いただけるハードルが下がったと確信している」とコメントした。
(大向琴音)