──2024年を振り返って。
AIに沸きに沸いた1年だった。その中で当社は「ハイブリッドAI」を提案してきた。企業は自社のデータが最も大切で、その活用においてもセキュリティー面を考えると外に出したくないと考えている。大企業向けに、プライベートAIで自分たちのそばにデータを置きつつパブリックAIと併用するエンタープライズAIを推進しており、業績も大きく伸長している。AIのエコシステムは、国内でも拡大している。GPU関連のビジネスも活況を呈しており、引き合いといった観点では前年比で10倍以上だ。
多田直哉
代表取締役社長
──特に成長が目立った製品は。
AIへの投資拡大を受けて、GPUを搭載したサーバーは成長が大きい。ハイパフォーマンスコンピューティングの顧客は、一般企業だけでなく公共や学術系も増えて、ラック型の需要が強かった。また、タワーサーバーが伸びている。中堅・中小企業顧客がオフィスでサーバーを使いたいというニーズに応え、販売台数を着実に伸ばすことができた。
エッジでのAI活用が進む
──AI活用は、25年はどのように進んでいくとみるか。
大規模言語モデル(LLM)の開発などには大量のコンピューティングリソースが必要になるが、企業での活用という場面では、エッジに収束していくだろう。データが発生する場所でデータを処理するのが最善で、エッジ領域にLLMやAIの実現方式を提供することが市場に求められている。顧客の拠点内にコンパクトなLLMを置き、データを保護しながらエッジを活用することでエンタープライズでの実装を進めていく。
AI関連は、現状PoCが多く、実装において業務にどう活用するかが課題になっている面もある。グローバルの活用事例を集めた当社の「AIライブラリー」では、業務に合わせてワークロードをどう組み合わせたらいいのか、やり方を多数紹介している。国内でもAI活用の深度を上げたい。
──製品面で注力する点は。
AIを活用するには、大量の電力を必要とする問題は避けて通れない。環境面を重視する顧客が非常に多く、サーバーでは、「直接水冷」方式の製品が大きく伸びている。AI活用とサステナビリティーの実現を両立する製品に力を入れていく。
──25年の方針は。
販売面では、(PCなどを取り扱うレノボ・ジャパンと共通化した)パートナープログラムの「Lenovo 360」が浸透しつつあり、PCとインフラ関連の双方でレノボを推していただけるパートナーが増えている中、より当社製品の提案や販売を加速できるよう支援を強化する。AIとDXをパートナーと一緒に推進していきたい。