──2024年のビジネスはどうだったか。
23年10月に当社グループに迎え入れたSIerのTCS(旧東京日産コンピュータシステム)が通年で連結対象となったM&A効果もあり、24年度(24年12月期)はITソリューション事業が大きく伸びた。また、従業員数約2500人のビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)会社プリマジェストも24年3月に当社グループに入ってもらった。BPO事業は当社の重点事業の一つで、プリマジェストは大型スキャナーを使った大規模な入力業務を強みとしており、出力業務に強みを持つ当社との相乗効果でBPO事業を伸ばすことができた。
足立正親
代表取締役社長
──25年度までの5カ年長期経営構想では、連結売上高6500億円、うちITソリューション売上高3000億円を目標に掲げている。
24年度の連結売上高は前年度比6.6%増の6500億円、うちグループITソリューションは48%程度を占める見込みで、目標を1年前倒しで達成できる可能性が高い。ただ、営業利益は前年度比2.9%増の540億円の見込みで、長期経営構想で掲げている580億円にはまだ届かないため、25年度では営業利益の目標も達成したい。
パートナービジネスに伸び代
──ITソリューション事業は大手ユーザー向けと、地域の中小ユーザー向けに分かれるが、それぞれ状況はどうか。
大手ユーザー向けでは当社並びにグループ中核SIerのキヤノンITソリューションズが中心となって伸ばし、地域の中小ユーザー向けには全国約150拠点を展開するキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンS&S)と、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)のパートナービジネス部門が担っている。
キヤノンS&Sは独自のITソリューション体系「まかせてIT DXシリーズ」を拡充させており、ここで培ったノウハウをキヤノンMJのパートナービジネス部門を経由してパートナービジネスにも提供していく。全国のキヤノン複合機の販売パートナーとの協業を深めれば、ITソリューション領域をもっと大きく伸ばせる。
──25年をキーワードで表すと何か。
「将来に向けた仕掛けづくりの年」としたい。25年度は長期経営構想の最終年度であり、26年度以降の経営計画や経営構想を考える年でもある。キヤノン製品の販売とITソリューションを中心とした当社独自ビジネスの両方を伸ばしていくための仕掛けをじっくり練り上げていきたい。
──長期経営構想の最終年度はどのような方向性になるのか。
目標達成に向けた成長投資を2000億円規模で実施中で、TCSやプリマジェストのM&Aやシステム投資、人材投資を行ってきた。最終年度も引き続き投資を継続するとともに、社内基幹システムなどの刷新にも着手したい。