キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は大和ハウス工業と協業して、物流倉庫の荷待ち・荷役時間を可視化するシステムを開発する。11月1日から大和ハウス工業の神奈川県にあるマルチテナント型物流倉庫内で実証実験をスタートさせ、2025年4月以降の完成を目指す。大和ハウス工業が展開するマルチテナント型の物流倉庫に実装していく予定だ。
キヤノンMJの早野雅人チーフ(右)と北後啓次主任
同システムは、荷物の積み込み、積み下ろしのための待機時間や荷役の様子、荷姿などを撮影してAIで状態を認識、可視化する。トラックが物流倉庫に到着してから作業を終えて退場するまでの間、「どの部分を改善すれば荷待ち・荷役時間が短縮できるかを分析し、改善につなげるシステムの開発を目指す」と、早野雅人・西日本営業本部近畿営業部営業第一課チーフは話す。
国が23年6月に示したガイドラインでは、1運行あたり推計約3時間かかっているとされる現在の荷待ち・荷役の作業を2時間以内とし、さらに努力目標として1時間以内を設定している。キヤノンMJは強みの映像技術を駆使して、時間短縮を妨げている要素を提示。「荷主や物流事業者の業務改善に役立ててもらう」(北後啓次・デジタルビジネス推進本部製造SS統括部西日本SSグループ主任)。
大和ハウス工業側から見れば、自社の物流倉庫を利用する顧客企業向けに業務改善のデータを提供することで付加価値を高められるメリットがある。映像分析のみで、荷主やトラック運転手に操作を求めず、ユーザーに負担がかからない点もメリットの一つだという。
キヤノンMJではユーザー企業などとの共創を通じて新しいITソリューション創出に取り組んでおり、今回の大和ハウス工業との協業もその一環となる。
(安藤章司)