Special Issue

<IT統制ソリューション特集> 管理・運用という観点を重視

2007/09/29 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

ASP型サービスの拡充により市場の拡大を狙う

 さまざまな企業で、サーバーやストレージなどのITシステムを統合し、一元管理することによって管理・運用コストを低減しようという動きが活発化している。基幹系のシステムのみならず、クライアントPCも一元管理することで、内部統制の強化にもつなげる狙いがある。また、企業システムを可視化したいというニーズもあり、資産管理ツールも市場を拡大しているようだ。さらに、これらのソリューションをASPサービスで提供するベンダーが登場し、中堅・中小企業まで一気にすそ野を広げつつある。

■クライアントPCのアウトソーシングを具現化

 管理・運用という観点から、企業システムを構成するサーバーやストレージを本社に集約・統合し、一元管理しようとする企業が増えた。ITシステムを一元管理することで、これまで管理しきれなかった拠点や部署のサーバーなどを企業の管理下におけるほか、管理コストの大幅な低減も実現する。さらに、内部統制の強化にもつなげることができるため、多くの企業が採用し始めている。また、クライアントPCの一元管理を実現すべく、シンクライアントを導入する企業も増えている。これまでシンクライアントは、専用の端末が必要となり、企業システムの大幅な入れ替えが必要なことから、導入コスト増となり、一部の大企業のみが導入を進めていた。しかし、シンクライアントのメリットを享受したい企業は少なからずあり、ニーズも高まっていた。そのようななか、シンクライアントのサービスをASPとして提供するベンダーが登場し始めている。ASPであれば、企業のコストを抑えながら、シンクライアントを利用できる。また、クライアントPCの管理をアウトソーシングできるため、企業内でシンクライアント環境を構築するよりも、管理・運用面でのメリットが大きい。もちろん、部門ごとのスモールスタートも可能となるため、「お試し」できるというメリットもある。ASPを活用しサービスだけを利用する企業は、今後さらに増えていくだろう。

■ITシステムを可視化する資産管理ツールが注目

 IT統制において、企業システムの可視化は重要なテーマである。可視化を実現するためには、現在の企業システムの状態を常に把握し、必要な対策を検討、適応する必要がある。企業システムを可視化するには、いわゆる資産管理ツールが必要だ。資産管理ツールは、クライアントPCのインベントリ情報を取得し、ハードウェア構成やソフトウェア構成の台帳を作成できる。それを活用すれば、より容易に現状を把握できるというわけだ。さらにクライアントPCのセキュリティパッチの適用状況やウイルスワクチンソフトの運用状況、不正ソフトのインストール状況などをアラートとして表示できるものもある。IT統制をすすめる上で必要不可欠なツールといえよう。昨今、このような資産管理ツールも、ASPで提供されている。資産管理ツールは、IT資産の棚卸しをするだけではなく、日々の運用・管理に必須のツールとなっている。ASP型のサービスを活用すれば、システムの管理工数もかからず、運用の手間も軽減できる。中堅・中小規模企業にとってもマネジメントしやすいソリューションといえるだろう。

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