Special Issue

<IT統制ソリューション特集> 管理・運用という観点を重視

2007/09/29 19:56

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

ネットワールドでも取り扱い開始
管理・運用コストを低減するSaaS『ISM Client Care』

■『QAW/QND』のコンセプトを『ISM』に余すことなく投入

 企業活動でデジタルデータを扱うケースが増えている。基幹システムなども多くの企業が利用するまでに至り、機密情報や個人情報などが日々蓄積されているからだ。そこで蓄積された情報は経営戦略などに活用され、企業の成長を強力にバックアップしている。

 しかし、企業活動に必要不可欠なそれらのデータも、扱い次第では「リスク」となって企業活動を左右するほどの事件に発展することもある。情報を適切に管理していなければ、「情報漏えい」事故が起き、これまで培ってきた信頼も一気に地に落ちることになるからだ。

 テレビや新聞などのメディアでも「情報漏えい」事件は毎日のように報道され、社会問題として認知されている。「情報漏えい」の経路はいくつかあるが、OSやアプリケーションソフトの脆弱性を悪用されるケースやWinnyやShareなどのP2Pソフトを媒介とした情報漏えい事件など、その要因はさまざまだ。

 「個人情報保護法」の施行や「日本版SOX法」の法制度化を控え、そのような側面からも、企業は情報漏えい対策や内部統制の強化が求められている。内部統制を実現するためのIT統制が必須となり、それを支える基盤管理としてセキュリティ維持管理の重要性が高まっているのである。

 「セキュリティの維持管理というニーズは、企業規模を問わず高まっていると感じています。特に業務処理プロセスを支えるクライアントPCを適切に管理したいというニーズは、企業規模を問わず高いですね」と、プロダクトスタートアップ事業の坂田光太郎事業副担当は語る。

 クオリティでは、これまで『QAW/QND』を中核に、各種オプションを連携させ、クライアントPCの現状把握からシステムの利用制限、社員教育まで幅広い対策を施してきた。最近では、これまで蓄積してきたノウハウや技術を投入したオンデマンド型のセキュリティ維持管理サービス『ISM』をパートナー企業に提供している。「『ISM』は専任のシステム管理者がいない企業様をイメージして開発しています。『QAW/QND』を導入されている企業様でも、日々の運用管理を容易にするため、普段の管理は『ISM』を使いたいというニーズも顕著となっています。管理リソースを大幅に軽減するツールとして期待されているようです」(坂田事業副担当)とのことだ。

■新規市場を切り開くSaaS型サービスに期待

 ISMを利用したサービスも拡充されているなか、9月にはネットワールドからISMを中核とした戦略製品『ISM Client Care』が提供される。『ISM Client Care』は、「SaaS型を採用し、“初期・導入費用を抑えながらも、セキュリティレベルを高く維持したい”という中堅・中小企業の経営者層の要望を最大限に満足させることができるサービスになると期待しております」(ネットワールド・マーケティング本部マーケティング1部・アクセス・ネットワークグループの荻上照夫氏)とのことだ。また、荻上氏は次のように続ける。「“専任の管理者を配置できていない企業が多い”という事実を日々パートナー様からお聞きする中で、そのような企業が『情報漏えい』という社会問題を引き起こすリスクとは無縁ではないということを肌で感じております。そういった企業様に対して『ISM Client Care』は最適なソリューションだと自負しております」。

 『ISM Client Care」は、Windows OSのセキュリティパッチの全台数更新機能(OSパッチのアップデート支援)やWinny、Shareなどの不正ソフトの探査・報告などセキュリティ対策サービスに加え、『ISM Client Care』で管理しているPC全体のセキュリティレベルを診断し、セキュリティレベルの可視化が可能だ。

 クライアントPCや企業システムの現状が把握できるため、セキュリティのマネジメントツールとしても活用しやすい。セキュリティレベルが低下した場合には、その原因をいち早く突き止め、早い段階で対策を行うこともできる。

 『ISM Client Care』を主軸に各セキュリティベンダーと協業しながらネットワールドが得意とする「Best-of-Breed」なセキュリティソリューションの提案をすすめていく構えだ。

 管理・運用コストの低減と適切な管理を行いたいというニーズが顕著となるなか、クオリティやネットワールドの展開への期待は大きい。今後注目したい企業と言えるだろう。

クオリティ=http://www.quality.co.jp/

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