SIerとNIerの再編が大きなビジネスチャンスに

 アプリケーション・デリバリ・ネットワーキング分野において、グローバルリーダーとして広く知られるF5ネットワークス。その日本法人であるF5ネットワークスジャパン(代表取締役社長、長崎忠雄)は、顧客やパートナー企業に対して付加価値の高いソリューションを提供することにより、国内市場においても確実にその存在感を高めてきた。また、ここにきて進展するSIerやNIerの再編、“SIとNIの融合”が進む現在、「ネットワークベンダーでありながらアプリケーションを見てきた」(長崎社長)という同社の強みが一段と発揮される環境にある。今後の戦略について、長崎忠雄社長と伊藤利昭マーケティングディレクターに聞いた。

■主戦場はロードバランサー市場から“アドバンスドプラットフォーム”市場へ

 「WANの高速化やアプリケーションの最適化、セキュリティの強化、ビジネスコンティニュイティ(事業継続性)などの重要性が増すなか、従来のようにサーバーをロードバランスするだけではない、いわゆる“アドバンスドプラットフォーム”が求められるようになっています」と、長崎社長は市況を説明する。

 F5ネットワークスジャパンは、L4─7スイッチ市場のトップベンダーとして知られているが、「当社がフォーカスしているのは、すでに“L4─7スイッチ”といったカテゴリーではありません」(長崎社長)とし、従来の「L4─7スイッチ」を内包するアドバンスドプラットフォーム市場を主戦場としている。実際、L4─7スイッチ市場の今後の動向を「フラット化していく」と予測する一方、「ネットワーク上で動作するアプリケーションに関する課題や要求は拡大する傾向を示しており、アドバンスドプラットフォーム市場は伸長していくでしょう。そのなかでこそ、当社の製品力やノウハウは一段と発揮されます」と長崎社長は自信を見せる。

 事実、同社はこれまでApplication Delivery Networking(アプリケーション・デリバリ・ネットワーキング)というコンセプトを掲げて事業展開しており、同分野におけるグローバルリーダーとして市場をリードし、ネットワーク上で動作するアプリケーションに対する「安全性(Secure)、高速化(Fast)、安定感(Available)」を最大限に高めるためのソリューションを提供してきた豊富な実績がある。

■アプリケーション配信最適化のベストプラクティス“Application Ready Network”

 現在、企業や組織において「アプリケーションのWeb化」「サーバー統合」が大きなトレンドとなっている。そうしたなかで、アプリケーション配信の「安全性、高速化、安定感」をコアとしたネットワークの構築が強く求められている。

 「Application Ready Network」は、こうしたニーズに対する、F5ネットワークスからのひとつの解といえるだろう。「Application Ready Network」とは、各アプリケーションベンダーによって開発・販売されているアプリケーションの最適な配信を可能とする設定手順や、ノウハウなどをまとめた包括的なガイド一式のことで、アプリケーションの導入後、ガイドに沿った設定を施すことで、各アプリケーションに最適化されたネットワークを構築できる。特定のアプリケーション配信を最適化する、まさにベストプラクティスといるものだ。例えば、SAPソリューションであれば、文書ダウンロードの高速化に加え、CPU使用率を最大44%削減し、サーバー側のコネクションを20分の1にするなどの効果も見込める。

 「既存のネットワークへはもちろん、新規導入を検討するお客様の場合も “Application ReadyNetwork”は有効に活用いただけます。また、SIer様にとっては強力な販売支援ツールになると同時に、付加価値販売の拡大にもつながっていくと期待しています」(長崎社長)。

 販売パートナーにとって、顧客に付加価値を提供していくことが、今後の成長のカギを握る。そのなかで、F5ネットワークスが果たす役割は大きい。

■開発者のためのオンラインコミュニティDevCentral Japanが好評

 その好例が、BIG─IPである。BIG─IPは、ロードバランシングを1つの重要な機能と位置づけているものの、SSL暗号化、データ圧縮、キャッシュなど、さまざまな付加機能をモジュールとして用意し、パートナー企業の提案の幅を広げることに成功している。また、アプリケーション・デリバリ・ネットワーキングを実現するための製品ラインアップも用意され、整合性もとれている。「アプリケーションの配信におけるお客様の課題に対し、ピンポイントで対策を講じるのではなく、全方位でサポートできるのが当社の強みです」と、伊藤マーケティングディレクターは語る。

 また、F5ネットワークスジャパンでは、顧客やパートナー企業が同社製品をさらに有効活用できるように、オンラインコミュニティ「DevCentral(デブ・セントラル)」を開設。最新テクノロジ情報やカスタマイズツール、カスタマイズサンプルなどを提供している。また、ユーザー登録(無料)を行うだけでこのフォーラムに自由に参加できる。「DevCentral Japanの開設後、アクセス数が2倍になっています。ユーザー同士がオンラインコミュニティを通じてアイデアを出し合ったり、いかに製品をうまく使いこなすかといったことを話し合ったりしています。技術情報も共有されているようです」(伊藤マーケティングディレクター)。

 デブ・セントラルやフォーラムを活用することで、顧客やパートナーが同社製品をより使いこなすことができる。これは近年著しいオープンソースの潮流と同様だといっていいだろう。

 「当社は、ネットワークベンダーでありながらアプリケーションを見ているという独特のポジショニングにあります。現在、SIerとNierの再編や次世代通信網の構築が進んでいますが、この状況は、付加価値を提供できる当社にとってはまさに大きなビジネスチャンス。お客様にとっても、ビジネスパートナーにとってもメリットが大きいと思います」(長崎社長)。

 企業におけるWebアプリケーションの利用は、今後さらに伸長していくことが予想される。しかし、ネットワークおよびアプリケーションには、さまざまな課題があふれている。TCOの削減とROIの向上の実現も不可避だ。そうしたなか、IPをコントロールする術を知り抜いているF5ネットワークスは、これらの課題を解決するのに最適なソリューションを揃えている。

 アプリケーション・デリバリ・ネットワーキングという分野において「“F5ネットワークスだからできる”といわれる企業にしていきたい」と締めくくる長崎社長の言葉は単なる理想論ではない。
(週刊BCN 2007年10月22日号掲載)