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<クオリティ特集> 3つのキーワードを軸に製品・サービス増強 「セキュリティ統制」を“柔軟に”

2008/02/28 19:56

週刊BCN 2008年02月25日vol.1224掲載

 IT資産管理ツール「QAW/QND Plus」で脚光を浴び、国産セキュリティベンダーとして存在感を示し続けるクオリティ。1月下旬、浦聖治代表取締役社長は今後の事業戦略を明示した。「セキュリティ統制」「環境対策」「サービス」の3つを骨子とした多様な製品・サービスを用意。クオリティの新たな姿を披露した。2008年のクオリティは市場をどう切り開くか。

■3つのキーワードをもとに製品・サービスを増強

 クオリティは、IT資産管理ツール「QAW/QND Plus」を中心に、これまで約3000社、約300万ライセンスを販売した実績がある。日本のIT資産管理ツール市場を切り開き、順調に販売本数を積み重ね、国産セキュリティベンダーとして確固たる地位を築いた。ただ、クオリティは「QAW/QND Plus」だけでは語れない。企業・団体のIT資産管理&セキュリティを実現するためのさまざまなプロダクト・サービスをすでに用意している。1月下旬に開催したプライベートイベント「VisionQ2008 ビジネスパートナーミーティング」では、クオリティが手がける領域の広さをあらためて示し、各プロダクト・サービスが持つ機能の充実ぶりを印象づける内容を披露した。

 2008年、クオリティは豊富な製品・サービスを武器に、どう市場を切り開こうとしているのか。キーワードは、「セキュリティ統制」「環境対策」「サービス」の3つ。この3本柱を軸に、新プロダクトとバージョンアップを図ることを浦社長は基本戦略に置いた。

 「セキュリティ統制」は、クオリティが最も強みとする領域。「セキュリティレベルがそれぞれ違うユーザに、それぞれのフェーズに合わせた『セキュリティ統制』を提案するためには何が必要かということを重きにおいて製品を揃えている。プロダクトありきではない戦略が他社との一番の違い」。浦社長はこう説明する。

 「QAW/QND Plus」を軸として、多種多様なオプション製品を用意しているのがそれを証明している。「QND Plus」を導入して基礎を固め、その後「QAW」にアップグレードしてさらに統制を利かせ、ユーザがそれでも足りないと感じる部分はオプションツールで補う。ユーザは、段階的にセキュリティ統制を高めることができ、体系立ててセキュリティ統制システムを構築できるため、負担が少ない。大規模なセキュリティプラットフォーム製品を導入して、複雑な機能に混乱することがないのだ。飯島邦夫専務取締役は、「パートナーにとっては1つのツールを販売したらそれで終わりではなく、顧客のセキュリティ統制の進捗度合いに合わせてさまざまなツールをその都度提案できる。パートナーが中長期的に顧客と付き合えるラインアップが揃っている」とパートナーのメリットも強調している。

■満を持して投入のログ収集ツール サービスメニューも大幅拡充

 今回の「VisionQ2008」では、「QAW/QND Plus」のほかオプションツールのバージョンアップ計画を示し、さらに使いやすく高度なセキュリティ統制のあり方を披露。バージョンアップ計画だけでなく、クオリティが満を持して投入する新商品も発表した。それが、1月31日に発売したクライアントPCの操作ログ取得ツール「QOH(Quality Operate Hawkeye)」である。

 04年当時、個人情報保護法施行に伴い、数々のログ収集ツールがリリースされたが、それらのツール、あるいはその焼き直しでは、現行のセキュリティ統制に十分に対応できない場合が多い。

 そこでクオリティは最新のアーキテクチャを活用して、最新の環境や今後の拡張などを考慮しつつ、一から開発した。一から新たな製品を作り上げるのは大変な作業だが、「ログ収集はこれまで以上に重要になる」との思いから時間を惜しまずにつくりあげた。十分なパフォーマンスを得られるように、既存システムに負荷をかけない設計を重要視した。また、取得したログを11項目別に分けて把握できる分析機能の精度にもこだわり、オプション製品「eX Report」との連係機能も用意した。浦社長が「1年以内にナンバーワンをとる」と自信を示す戦略商品で、08年にログ収集ツールを積極的に拡販する姿勢を鮮明にした。そして、セキュリティ統制を実現するために、クオリティが昨年から本腰を入れて取り組み始めたのが「サービス」ビジネス。「ISM(IT Security Manager)」のブランドで、SaaS型/ASP PC管理サービスを展開する。(1)IT資産管理、(2)Windows Update強制更新支援、(3)セキュリティレベル診断、(4)不正ソフト検出の4機能をネットワーク越しにサービスとして提供している。サービス開始から半年で、5社のパートナーが販売する営業体制を確立。専任の情報システム管理者などを配置できない中小企業や海外に拠点を持つ企業から人気で、約300社のユーザを獲得し、好調なスタートを切った。

 今後は、クライアントPCトラブル修復サービスなど、従来の「診断」系サービスだけでなく、「対策」系の5つの新サービスをメニュー化する予定で、代理店数も大幅に拡販する計画だ。

■“環境対策ソフト”発売 先進的な自社活動をもとに

 一方、「環境対策」製品はソフトメーカーでは異色の施策。「グリーンIT」の名称で、IT業界の環境対策活動は活発化しているが、ソフトメーカーが環境対策関連のプロダクトをリリースするのは珍しい。クオリティは、専門コンサルタントの協力を得て、約3年前から自社の環境対策活動を推進してきた。

 極力エレベータを使わないということや、プリンタ出力紙を減少させるなど、地道な活動を進め、既存資源を生かす「MOTTAINAI」プロジェクトという活動にも取り組んでいる。そのなかで、ソフトメーカーとしてPCの消費電力増大を問題視し、PCの電源消費量削減ソリューションの提供を開始している。PCの電力削減は、環境対策に関心が高いユーザにとって軽視できない問題で、そこにアプローチできるソリューションをクオリティはソフトメーカーとしていち早く用意したわけだ。

 3つのキーワードをもとに製品の拡充・増強を進めるクオリティ。資産管理ツールベンダーから脱皮し、08年はセキュリティ統制の実現をサポートする企業として飛躍しそうだ。(週刊BCN 2008年2月25日号掲載)
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外部リンク

クオリティ=http://www.quality.co.jp/